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新型コロナ ワクチン後の感染は「軽くすむ」か

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
緊急事態宣言が解除され、通勤などでJR大阪駅前を歩く人たち=大阪市北区で2021年10月1日午前8時46分、山田尚弘撮影
緊急事態宣言が解除され、通勤などでJR大阪駅前を歩く人たち=大阪市北区で2021年10月1日午前8時46分、山田尚弘撮影

 新型コロナウイルスに感染して死亡した人は1575人。しかし、そのなかでワクチンを2回接種後2週間以上経過していた人は一人もいなかった。

 これは、8月18日に大阪府で開催された第57回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の議事録で公表されたデータ(38ページ)です。3月1日~8月15日の期間中、陽性者は8万5325人。うちワクチンを2回接種後2週間以上経過していたのが317人。しかし、その317人で死亡者はゼロ、重症者もゼロだったのです。このデータをまとめると、次のようになります。なお「ワクチン2回接種後2週間以上経過」した人を「ワクチン完了者」、それ以外の人を「未完了者」と表しています。

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太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。