“子ども食堂”の時代―親と子のSOS―

コロナ下で中止になった子どもの行事 発達への影響は

可知悠子・北里大学講師
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 新型コロナウイルス感染症の流行という緊急事態は、学びや遊び、さまざまな体験活動が制限されるなど、子どもたちの生活に大きな変化をもたらしました。こうした変化は、子どもたちの心身の発達や健康にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。感染の第5波が落ち着いた今、感染対策が子どもたちに及ぼした影響について振り返っていこうと考えています。今回は体験活動に注目して、子どもへの影響を考えます。

コロナ禍における体験活動の減少

 コロナ禍においては、子どもたちの多くの体験活動が制限されてきました。たとえば、給食時の会話の禁止、運動会や修学旅行などの学校行事の中止、部活動の制限、学校外で友人と遊ぶ機会の減少……などです。

 こうした体験活動が奪われていくことに「思い出が作れなくなって、悲しい」と素直に悔しい気持ちを吐露する子どももいれば「コロナだから仕方がない」と物分かりの良い反応をする子どもたちもいます。後者のような反応をする子どもには、社会に期待をせず、あきらめることが当たり前になってしまわないか、心配になることがあります。

 医療の逼迫(ひっぱく)を回避し、感染による死亡率を下げるためには、子どもたちが体験活動を多少我慢するのは仕方がないという考えもあるかもしれません。しかし、体験活動を安易に減らしたり、延期したりしてもよいのでしょうか? 体験活動は、子どもの育ちにどのような効果を与えるのでしょうか?

体験活動の子どもの育ちへの効果

 文部科学省は、体験活動を「生活・文化体験活動」(手伝い、遊び、読書、部活動、地域や学校での行事など)、「自然体験活動」(登山、キャンプ、動植物観察など)、「社会体験活動」(ボランティア、職場体験など)の三つの分野に分け、子どもたちの育ちへの影響を複数年度において調査しています。

 調査結果の一部を紹介すると、自然体験や生活体験といった体験が豊富な子どもほど、自己肯定感が高く道徳観・正義感が育まれている傾向が見られました(2014年度調査)。また、保護者が子どものやりたいことをできるだけ尊重するなど、体験を支援するような関わりや、学校のない日にも早寝早起きをさせるなどの生活指導的な関わりをしていると、その子どものコミュニケーションスキルや礼儀・マナーのスキルが高い傾向が見られました(15年度調査)。

 さらに、…

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可知悠子

北里大学講師

かち・ゆうこ 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年から10年間、臨床心理士として子どもや女性のカウンセリングにあたる。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座助教、日本医科大学衛生学公衆衛生学教室助教を経て、18年4月から北里大学医学部公衆衛生学単位講師。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室客員研究員、国立成育医療研究センター社会医学研究部共同研究員、首都大学東京客員准教授。共著に「子どもの貧困と食格差~お腹いっぱい食べさせたい」(大月書店)。自身も子育て中。労働者とその子どもの健康の社会格差をテーマに研究を行っている。