医療プレミア特集

コロナでひきこもるがん患者の方へ 無料相談のすすめ

永山悦子・医療プレミア編集部兼論説室
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「マギーズ東京ががん患者の方の安心の礎になってほしい」と話す秋山正子センター長=東京都江東区で2021年10月8日、永山悦子撮影
「マギーズ東京ががん患者の方の安心の礎になってほしい」と話す秋山正子センター長=東京都江東区で2021年10月8日、永山悦子撮影

 がんの影響を受けても、また自分の力で歩んでいけるように――。そんなサポートに取り組むのが、東京・豊洲にある相談施設「マギーズ東京」(※)だ。オープンから5年、誰でもいつでも無料で相談を受けられる場として、これまでに約2万8000人が利用した。新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けたが、感染予防でひきこもり状態になった患者たちのために「ドア」は開き続けた。秋山正子センター長に、コロナ時代のがんとの向き合い方を聞いた。

感染対策でひきこもり状態に

 ――コロナ下でマギーズ東京の様子は変わりましたか。

 マギーズ東京の大きな特徴は「建築」と「環境」です。病院と家庭の間の「第二の我が家」のようなリラックスできる空間で、お茶を飲んだり、本を読んだり、外を眺めたりして過ごします。そこで、看護師や心理士など医療の専門職が、友人のように隣に座って話を聞きます。それによって、その人が前に進む力を取り戻せるようサポートしています。ですから、この場所に来てもらうことが大切なポイントでした。電話相談は他にもありますから、コロナ前はできるだけ直接来ていただくようにしていました。

 しかし、コロナ下になってそれが難しくなりました。昨年春の最初の緊急事態宣言が出たころから、電話相談(平日午前10時~午後4時)やメール相談にも対応することにしました。他の相談窓口が閉まった中でも、私たちはドアを開け続けました。リラクセーションやストレスと向き合う方法などを学ぶグループプログラムも、オンラインの形で実施しています。遠方の方たちにはオンラインで相談対応をしています。

 ――コロナ下で、患者さんの様子は変わりましたか。

 各地で開かれているがんサロンなどが中止になり、人となかなか話せなくて、不安を募らせている人が多いようです。多くの方が、感染を予防するために家にひきこもっている状況です。その結果、インターネットでネットサーフィンをする状態になり、いい情報ばかりではなく科学的根拠の薄い治療にたどり着いてしまうという例もあります。また、がん当事者のブログを読みふけり、その更新が止まったことに「亡くなってしまったのでは」と考えて、自分も落ち込んでし…

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永山悦子

医療プレミア編集部兼論説室

1991年入社。和歌山支局、前橋支局、科学環境部、オピニオングループなどを経て、2021年4月から医療プレミア編集長兼論説室。2010年に小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還をオーストラリアの砂漠で取材した。はやぶさ2も計画段階から追いかける。ツイッターは、はやぶさ毎日(@mai_hayabusa)。医療分野では、がん医療や生命科学の取材を続ける。好きなものは、旅と自然と山歩きとベラスケス。お酒はそこそこ。