百寿者に学ぶ バランス健康術!

「10万円」より「お米」を配ろう 日本社会の課題解決のために

米井嘉一・同志社大学教授
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 政府は新たな経済対策として、コロナ禍に苦しむ住民税非課税世帯や18歳以下の子どもを持つ世帯に10万円(後者の5万円分はクーポン券)を配布することなどを決めました。しかし、「それは何ら問題の解決にはつながらない」と、同志社大の米井嘉一教授は訴えます。米井さんが提唱するのは「10万円よりお米を配ろう」。なぜ「お米」を配るのか。その理由は?

「健康な暮らし」とは何だろう

 まもなく年の瀬を迎えます。コロナ禍、社会的格差、少子高齢化、貧困など、世の中には解決しなくてはならない問題が山積しています。前回(隔離でワシも考えた! ウィズコロナ時代を生き抜くために必要なこと)に続いて、ロシアで開かれた第3回ユーラシア女性フォーラムに参加して帰国後、2週間の隔離期間中に考えたことを書くことにします。女性フォーラムに参加した経験から、ジェンダーギャップや経済格差の視点に少しでも近づきたいと考えました。

 健康的な暮らしを送るためには、単に病気がない、けががないだけでは十分ではありません。肉体的にも、精神的にも健康であることはもちろん、社会的にも経済的にも「健康であること」が望ましいといえます。

 経済面では、日本国民の給与水準は過去20年以上ほぼ変わらず、税や社会保障の負担は確実に増えています。高所得者と低所得者の格差、男女の格差も広がりつつあります。

 きっかけは1985年に制定された次の二つの法律でした。「男女雇用機会均等法」と「労働者派遣法」です。

 その後に、女性の社会進出が進んだことや、家族や社会からの若者への結婚圧力が弱まったことが、晩婚化や高齢出産化の契機と考えられます(いま「卵巣アンチエイジング」が必要な三つの理由)。女性の社会進出は歓迎すべきことです。しかし、保育所の整備や子育て支援の体制が十分ではありませんでした。

 労働者の賃金は、単純に考えれば、需要と供給の関係で定まります。それまでの需要(求人数)に対し、女性の社会進出によって供給(応募者)が増えました。その結果、給与水準は下がりました。当時はバブル経済だったため、求人の需要も高い水準にあり、給与水準の低下が見えにくかっただけです。派遣社員の方が給料は高く、残業もなく、うらやましく思われていた時代でした。

 企業側から見れば、バブル経済が崩壊した後は「経済の先行きが予測困難」という理由で、正社員を増員する方向にはいきませんでした。そこで、非正規雇用者(派遣社員)として需要を賄うことになったのです。すると、労働者…

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米井嘉一

同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。