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出会い系アプリで知り合った“彼氏” SNSで事件に巻き込まれる少女たち

渡部達也・NPO法人ゆめ・まち・ねっと代表
 
 

 ネット交流サービス(SNS)で知り合った大人とトラブルになり、被害に遭う子どもが後を絶ちません。警察庁が発表した2020年の犯罪情勢によると、SNSに起因した事件の被害児童数は13年から増加傾向にあります。小学校でスマートフォンの安全な利用法を学びますが、中高生になると、保護者も子どもが誰とどんなやり取りをしているか把握しにくくなります。静岡県富士市のNPO法人「ゆめ・まち・ねっと」代表の渡部達也さんは、「出会い系アプリ」を通じて知り合った大人の男性と交際する少女たちを見守ってきました。そのかかわり方は試行錯誤の連続だといいます。どうすれば子どもたちを守れるのでしょうか。渡部さんが少女たちとのエピソードを交えながら、問いかけます。

女子中学生の“彼氏”は父親より年上!?

 「最近、彼氏さんとうまくいってないんだよねえ……」

 僕たちが自由な外遊びの環境を提供している「冒険遊び場たごっこパーク」で、たき火を囲みながら中学生のヒカリがため息交じりにつぶやきました。

 「ヒカリ、付き合っている人、いたんだ?」

 隣で聞いていたみっきぃ(妻の愛称)が尋ねます。

 「うん。福岡の人」

 「福岡???」

 「そうだよ。○○○(出会い系SNSの名前)で知り合った」

 「会ったこと、あるの?」

 「ない(笑)」

 こんなこともありました。

 「みっきぃ、ユイの父ちゃんから相談されたんだけど、俺に相談されてもねえって感じなんだけど」

 放課後の居場所として開いている「おもしろ荘」で、高校生のマナトがそんな話をしてきました。マナトはユイの家のすぐ近所に住んでいます。

 「ユイのお父さんから? 不登校のことかな?」

 「いやあ……ユイがね、家に彼氏を連れてきたんだけど、自分より年上で、どうしたらいいんだろって」

 「お父さんより年上の彼氏!? で、そのときはどうしたんだろ?」

 「それがね、大阪から来ちゃったから、帰すわけにもいかなくて、夕飯をごちそうしたんだって(笑)おかしくない?」

 「う~ん。でも、テンパってそうしちゃった親の気持ちもわからなくもないね。ところで、そもそも、親より年上で大阪に住んでる彼氏ってどういうこと?」

 「出会い系だって、出会い系。△△△ってアプリがあるんだよ」

増加する「SNSに起因した犯罪」に遭う子どもたち

 昨年8月、東京都内の女子高校生が行方不明になり山梨県内で遺体で見つかった事件で、警視庁は殺人や死体遺棄などの疑いで20代の夫婦を逮捕しています。報道によると、容疑者である夫はSNSで女子高校生と知り合い、連絡を取っていました。妻にそのことを問いただされ、3人で話し合いをするために女子高校生を群馬県内の自宅に連れて行き、その後、山梨県内の物置小屋に移動して殺害したということです。

 昨年12月には、京都府内の女子高校生がSNSで知り合った滋賀県内の男性のアパートで死亡しているのが見つかり、滋賀県警はこの男性と岐阜県内の女性を未成年者誘拐の疑いで逮捕しました。その後の報道によると、女子高校生と容疑者2人は、薬物を過剰摂取し多幸感を得ようとする「オーバードーズ」の仲間として集まったとみられることが、滋賀県警の調べで…

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NPO法人ゆめ・まち・ねっと代表

わたなべ・たつや 1965年静岡県三島市生まれ。茨城大卒。88年静岡県庁入庁。児童相談所ケースワーカーや大規模公園「富士山こどもの国」の設立・運営、国体および全国障害者スポーツ大会の広報などに携わる。「まちづくり」という夢を追い求め、2004年に16年余り勤めた県庁を退職。同県富士市に移住し、同年秋、妻・美樹と共にNPO法人「ゆめ・まち・ねっと」を設立。空き店舗を活用した放課後の居場所「おもしろ荘」や地元の公園と川で自由な遊びを楽しむ「冒険遊び場たごっこパーク」、「0円こども食堂」などの開催を通じて、子どもの遊び場づくり・若者の居場所づくりに取り組む。里親として虐待を受けた子どもの社会的養育にもかかわっている。愛媛県松前町が創設し「義農精神」(利他の精神)を体現する活動に取り組む個人・団体を表彰する第1回「義農大賞」など受賞多数。 著書に「子どもたちへのまなざし-心情を想像し合い 積み重ねてきた日常 切れ目のない関係性-」(エイデル研究所)。