人生なりゆき~シニアのための楽しい生き方・逝き方

「食べない」という選択 高齢者に無理に食事をさせるのは愛情か

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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 高齢者に対して「ご飯を食べないと死んでしまうよ!」という介護者のドキュメンタリーを見て、がんを患う石蔵文信さんは苦しい思いをしたと明かします。石蔵さん自身、がんになって、食事をまったく受け付けなくなったからです。今も、治療の副作用でほとんど食べられません。それでも「食べない方が楽」と言います。年を重ねたり病になったりしたときの食事はどのように考えるべきなのでしょうか。

「食べたくない」という高齢者に

 先日、自宅でかなり弱った高齢者の介護をする女性のドキュメンタリーを見ました。高齢者の娘か孫かは不明でしたが、まだ小さな子どもの世話もある女性は、食事の時間になると一生懸命、高齢者に食事を促していました。ご高齢の方は、口を閉ざして「食べたくない」と拒否していたのですが、介護する女性は「ご飯を食べないと死んでしまうよ!」と無理やり口に押し込もうとしていました。

 報道では、子育てと介護の両方を頑張っている女性の姿を強調していましたが、私が気になったのは、この食事のシーンでした。ご高齢の方に食事を無理やり勧めるのは、愛情の深い行為といえるのでしょうか?

 申し訳ありませんが、私はその番組を見ること自体が苦しく感じました。…

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。