心の天気図

「意欲低下」は原因に応じた対策を

佐々木 司・東京大学教授・精神科医
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 「意欲低下」、つまり「やる気が出なくて仕事や勉強が思うように進まない」状態について考えてみたい。うつ病などの病気によることもあるが、そうでない場合もあり、困っている人も多いだろう。実は「意欲低下」と言っても実態はいろいろなので、今回は三つに分けてみる。

 その一つは「疲労困憊(こんぱい)」である。過剰な仕事、睡眠や休養の不足が続いた後などに起こりやすい。頭が働かず、簡単な作業も進まない。体も疲れていて、ひどい時は起きているのがやっとの場合もある。うつ病などにも近く、病気と診断されることもある。とにかく休んで回復を図るべき状態だ。服薬などの治療が必要なこともある。

 二つ目は、仕事が自分に適していない場合である。例えば数学の苦手な人が、難問集を解かなくてはならない状況だ。最初は何とか取り組み、解答にいたる人もいるかもしれない。しかし長時間取り組んでも解決できず、自分の無力感を思い知らされて、取り組む意欲を失う人は少なくないだろう。仕事なら、人と話すことの極端に苦手な人が営業職に回されたり、管理職をゆだねられたりした場合に、よく見られる。

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佐々木 司

東京大学教授・精神科医

東京大学医学部医学科卒。東大病院、財団法人神経研究所晴和病院での勤務を経て、トロント大学クラーク精神医学研究所に留学。帝京大学医学部講師などを勤め、2008年に東京大教授。生活習慣や環境的諸要因と「こころと体」の健康との関連の解明、学校精神保健教育プログラム開発などを進め、英文国際誌を中心に成果を発表している。日本不安症学会理事長、日本学校保健学会常任理事。一般向け著書としては「その習慣を変えれば『うつ』は良くなる!」、共著に「精神科医と養護教諭がホンネで語る 思春期の精神疾患」