現代フランス健康事情

マクロン大統領へ市民 「あまりにも下品。あなたにうんざりだ」

竹内真里・フランス在住ライター
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1992年に冬季オリンピックが開かれたアルベールビルの街並み。伊藤みどりさんの3回転半ジャンプが記憶に焼き付いている=筆者撮影
1992年に冬季オリンピックが開かれたアルベールビルの街並み。伊藤みどりさんの3回転半ジャンプが記憶に焼き付いている=筆者撮影

 新しい年を迎えたフランスでは、政府が国民にワクチン接種を迫る政策を打ち出しています。マクロン大統領の「(ワクチン接種をしない人を)うんざりさせてやる」という発言は、大きな波紋を広げました。現地在住のライター、竹内真里さんが周囲の人に意見を聞くと、「大統領にうんざりだ」「下品な言葉だ」「マフィアのよう」と、大統領発言にあきれる声であふれました。オミクロン株では、ワクチン接種後も感染する「ブレークスルー感染」が相次いでいます。どこまでワクチン接種を「強制」すべきなのか。さらなる「分断」が懸念されるフランスからの報告です。

ワクチン「強硬策」への市民の反応は

 2022年が幕を開けた。年末年始、久しぶりに会った人たちとの話題は新型コロナウイルス関連が中心だ。かつて「希望の光」といわれた新型コロナのワクチンだが、フランス政府の対策によって、接種の有無で通常の社会生活を営めるかどうかが決められて(分けられて)しまう生活が続いている。方針に賛成の人、疑問に思いつつ追従する人、断固として反対する人、いろいろだ。それでも、「早く何の制限もない普通の生活を送りたい」と、根底にある市民の思いは共通しているはずだ。

 普通に暮らしているようなのに、なんとも理解しがたい「強硬策」が次々と実施される中、人々は何を思っているのか。引き続き市民の小さな声を取り上げたい。

風邪やインフルエンザとどう区別するか

 マルセイユ在住の友人、ジョージアンヌさんは、彼女の身近な人々の感染例を話してくれた。幸いなことに、重症化したり死亡に至ったりした人はいなかった。

 「20歳の長女の彼氏が発症して、発熱やのどの痛みがあり、自宅療養で元気になりました。症状は普通の風邪と同じで、検査をしなければ見分けがつかないと言っていました。不思議なのは、長女は検査をしても陰性で、感染も発症もしなかった。四六時中一緒にいて、性的関係もある仲なのに。新型コロナにかかった私の弟一家も、預かっている子どもたち(ジョージアンヌさんの仕事は自宅で子どもを預かる保育ママ)の保護者も、風邪かと思ったら新型コロナだったと言いました。どう見分けをつければいいのでしょうか」

 ジョージアンヌさんは続けた。

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竹内真里

フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。