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「子どもの貧困」初の全国調査で分かった新型コロナの影響と広がる“連鎖”のリスク

可知悠子・北里大学講師
 
 

 内閣府は昨年12月、「令和3(2021)年子供の生活状況調査の分析」をまとめた報告書を公表しました。この調査は、日本で初めて全国規模で実施した「子どもの貧困」に関する調査で、偶然にも新型コロナウイルス下だったことから、パンデミック(世界的大流行)の子どもの貧困への影響を検討した貴重なデータといえます。私は、調査項目と分析方針を検討する委員会の委員として、この調査に関わる機会をいただきました。今回は、調査結果の一部を紹介するとともに、今後の子どもの貧困対策について意見を述べたいと思います。なお、結果の解釈や政策の提言は私見であり、内閣府の見解を示すものではありません。

「準貧困層」にも支援が必要

 この調査は、国内での新型コロナ第3波に当たる21年2~3月に実施されました。対象は全国の中学2年生とその保護者5000組で、54.3%にあたる2715組から回答が得られました。

 報告書では、子どもたちを世帯収入が相対的に最も低い「貧困層」、次に低い「準貧困層」、それ以上の「非貧困層」の三つのグループに分け、生活状況を分析しています。グループに分ける際、等価世帯収入(世帯の年間収入を同居家族の人数で調整したもの)の水準が、中央値の2分の1未満を「貧困層」、中央値の2分の1以上中央値未満を「準貧困層」、中央値以上を「非貧困層」と定義しています。

 これからポイントを絞って解説していきますが、非常に有意義なデータですので、関心のある方は報告書をまとめた内閣府のページもご覧ください。

 この調査の大きな特徴は、「貧困の連鎖」のリスクが「貧困層」だけではなく、「準貧困層」にも表れることを明らかにしていることです。

 「貧困の連鎖」とは、次のような状況を指します。親の貧困は、子どもの学力や体験の不足、不適切な生活習慣、相談相手の不在といった「不利」につながります。こうした不利が積もり積もると、進学や就職の可能性や選択肢が狭まり、大人になったときに貧困に陥る可能性が高まってしまいます。

 たとえば、授業の理解状況について「ほとんどわからない」あるいは「わからないことが多い」と答えた子どもの割合は、非貧困層は7.3%だったのに対し、準貧困層では12.4%、貧困層では24.0%でした。世帯収入が低くなるにつれて、段階的に増えていることが分かります。

 また、進学希望についても「大学またはそれ以上」と答えた割合は、非貧困層では64.3%でした。準貧困層は38.1%、貧困層は28.0%と、世帯収入が低くなるにつれて段階的に減る傾向でした。

 これまで日本の一部地域を対象に実施された国内の研究チームの分析でも、世帯収入が低くなるほど、子どもの勉強や生活習慣、健康上の課題…

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北里大学講師

かち・ゆうこ 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年から10年間、臨床心理士として子どもや女性のカウンセリングにあたる。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座助教、日本医科大学衛生学公衆衛生学教室助教を経て、18年4月から北里大学医学部公衆衛生学単位講師。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室客員研究員、国立成育医療研究センター社会医学研究部共同研究員、首都大学東京客員准教授。著書に「保育園に通えない子どもたち――『無園児』という闇」(筑摩書房)、共著に「子どもの貧困と食格差~お腹いっぱい食べさせたい」(大月書店)。自身も子育て中。労働者とその子どもの健康の社会格差をテーマに研究を行っている。