
新型コロナウイルスの感染予防のため、日常的にマスクをするようになりました。ただし、私たちは生まれながらにして“天然のマスク”を持っています。それは“鼻”のことです。呼吸には「鼻呼吸」と「口呼吸」がありますが、口呼吸をしているとインフルエンザにかかりやすいともいわれてきました。それはなぜでしょうか? 鼻が天然のマスクと呼ばれるゆえんと、鼻呼吸の重要性について、国立モンゴル医学科学大学の岡崎好秀・客員教授が解説します。
鼻は空気に対しさまざまな防御作用を持つ
インフルエンザなどの呼吸器感染症にかかると、自分が苦しいだけではなく、周囲の人にも迷惑をかけます。筆者は、インフルエンザ予防は、そのまま新型コロナウイルス感染症の予防にもつながると考えています。両者は別のウイルスですが、感染予防対策には共通点が多いのです。
呼吸器感染症の予防といえば、手洗いやマスクの着用、3密を避けることを思い浮かべると思います(図1)。細菌やウイルスの主な侵入場所は、鼻と口の2カ所です。従って、ここからの侵入を防ぐことができれば、予防につながります。
しかし、まだ一般的に知られていないことがあります。鼻と口の違いです。鼻は“空気”の通り道ですから、さまざまな防御作用を持ちますが、口は“食べ物”の通り道なので、空気に対する防御作用を持ちません。これまでも「口呼吸」をしているとインフルエンザにかかりやすいといわれてきました。その理由について説明しましょう。
鼻には「関所」としての役割がある
現在、呼吸器感染症の予防としてマスクが推奨されています。ところが、ヒトには“天然のマスク”があります。それは「鼻呼吸」をすることです。
ヒトは、…
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