
新型コロナウイルスのオミクロン株が、全国で急速に広がっています。オミクロン株は従来の変異株よりも、実効再生産数(1人の感染者がウイルスをうつす人数)が大きいとみられています。南アフリカや北米での広がり方をみると、急激な感染者数の増加が起きることがわかります。感染を防ぐにはワクチンに期待したいところですが、ワクチン接種から5カ月程度経過すると、新型コロナに対する抗体価(血液中の抗体の量)が減少してしまい、免疫の効果が大分落ちてしまうことがわかっています。ただ、日本では多くの人がワクチン接種を受けるようになった時期が欧米よりも遅かったため、効果が落ちるのも遅くて、感染対策上「やや有利」な可能性はあります。それでも沖縄、東京、広島を中心に感染者数が増えており、すでに全国では1日の感染者が2万人を超えてしまいました。いままでの新型コロナ感染の「波」のことを考えると、これから数カ月は感染者が増えて厳しい時期が続くかと予想されます。
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国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)
しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授、21年4月から主任教授(同大成田病院救急科部長)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。