現代フランス健康事情

ワクチン接種の実質義務化 窮屈なルールは政府の「脅し」か

竹内真里・フランス在住ライター
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リヨンのレピュブリック広場。ブティックが立ち並ぶショッピングゾーンにある=筆者撮影
リヨンのレピュブリック広場。ブティックが立ち並ぶショッピングゾーンにある=筆者撮影

 フランスで、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を実質的に義務付ける「ワクチンパス」の制度が始まりました。一方、新型コロナの特徴がかなり明らかになってきている中、あまりにも厳格な検査の実施やワクチン接種を迫り、日常生活の制約を強いる仏政府に、違和感を持つ市民も少なくないようです。現地の感染症の専門家の中には「コロナ対策で最も良い例は日本だ」と発言する人もいます。「オミクロン株が拡大する中、日本の皆さんはフランスの状況をどのように見ますか」。現地ライターの竹内真里さんが問いかけます。

ワクチンパス制度がスタート

 フランスでは、今月13日に教員らによる大規模なストライキが実施された。スト大国・フランスでは特段驚くことではない。しかし、今回は、学校での新型コロナ対応に音を上げた教員らの怒りが噴出したことが、これまでにないものだった。

 国会で審議されていたワクチンパス制度は、24日に導入された。ワクチンパスとは新型コロナのワクチン接種を証明するもので、飲食店など公共施設を利用する際の提示を義務付ける。毎週土曜日のワクチンパス反対デモは続行中だ。フランスの状況と、現状に疑問を投げかける人々や医師の発言を紹介したい。日本の皆さんはどう感じるだろうか。

 パリのジェラルド・キルゼク救急医は今月20日、現地メディア「Europe1」のインタビューで、「テスト(検査)をすればするほどパニックを引き起こす。インフルエンザや他のウイルスでは、疑いがあるたびにテストをしないだろう。この『パニックの大流行』をやめさせるには、テストに走り、『第何波だ』と、波やそのピークや陽性者の数を数えるのをやめることだ。(ワクチン接種や検査の陰性を示す)衛生パス制度を導入しても新型コロナの流行からは抜け出せなかった。本当に重症になった患者の数を注視すべきだ。大規模なワクチン接種キャンペーンも間違いだった。ワクチン接種が必要な人は、肥満患者、65歳以上の脆弱(ぜいじゃく)な人であり、子どもや若い世代には必要ない。このパニック状態から抜け出すために、規制を緩和して普通の生活に移行すべきだ」と話す。

過剰な検査は混乱、疲弊のもと

 街を見れば、検査機関や薬局の前に長蛇の列ができている。低年齢の子どもと一緒の親子連れも目立ち、寒い中、辛抱強く待っている。白い仮設テントもできた。新型コロナに感染した可能性のある人は、症状の有無にかかわらず、検査を受ける。

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竹内真里

フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。