無難に生きる方法論

ワクチン副反応を防ぐヒント ワクチンが原因ではないものも?

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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昨年2月、新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける医療従事者(左奥)。手前は副反応の経過観察のため待機する人=東京都目黒区の国立病院機構東京医療センターで(代表撮影)
昨年2月、新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける医療従事者(左奥)。手前は副反応の経過観察のため待機する人=東京都目黒区の国立病院機構東京医療センターで(代表撮影)

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けた後、さまざまな副反応が起きます。その中に、実はワクチンとは直接関係しないものもあるのではないか。そんな研究成果を米国の研究チームが発表しました。石蔵文信・大阪大招へい教授が、副反応のメカニズムや防ぐためのヒントを解説します。

知っていますか? 「ノセボ効果」

 「プラセボ効果」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。ある薬の効果を調べる臨床試験では、対象の薬を使うグループと、全く効果のない「偽薬(プラセボ)」を使うグループに分け、効果を調べます。

 そのとき、プラセボを使っても良い効果が出る状態を指すのが「プラセボ効果」です。しかし、その反対である「ノセボ効果」というのもあるのです。「マイナスプラセボ効果」ともいいます。

 臨床試験で何の効果もない成分(偽薬)を服用した結果、有害事象を経験することを「ノセボ効果」と呼びます。2018年に発表された論文では、20件の臨床試験で偽薬を投与された約25万人を解析したところ、その約半数に有害事象が出たということでした(Trials 2018.:19:674)。さらに、20例に1例が、重篤な有害事象のために試験から脱落していました。有害事象は、食欲不振や腹痛・胸焼けなどが多かったそうですが、中には重い症状も出たようです。

 ノセボ効果が起きる理由は、たまたま臨床試験中に腹痛などを起こしたことや、試験を受ける前に有害事象について詳しく説明を受けたため、すごく気にしてしまう可能性があるということです。このノセボ効果が、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種でも起きている可能性があると指摘されています。

プラセボ群にもワクチン副反応症状

 米国のJulia W.Haas氏らは、新型コロナワクチンについて実施された12件の試験に参加した4万5380例を対象に解析を実施し、ノセボ効果を検討しています(JAMA Netw Open、2022; 5: e2143955)。

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。