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新型コロナワクチン・検査の強化が生み出す「敵」「不信感」の正体

竹内真里・フランス在住ライター
湖に停泊中のボート。遠くの遊歩道に散歩を楽しむ人々の姿が見える=筆者撮影
湖に停泊中のボート。遠くの遊歩道に散歩を楽しむ人々の姿が見える=筆者撮影

 新型コロナウイルスの拡大がやまず、3回目のワクチン接種を急ぐ日本政府。だが、欧州など海外を見ればワクチンの追加接種を受けても感染する人は後を絶ちません。オミクロン株については、重症化リスクが低いことも分かってきました。それにもかかわらず「ワクチン接種を受ける」「検査を受ける」ことが子どもまで強いられているフランスの状況から、私たち日本人も学べることがありそうです。フランス在住のライター、竹内真里さんは「さまざまな価値観が存在し、いずれも尊重されるべきです。互いを敵対視してしまう状況は、誰にとっても不幸です」と訴えます。

「感覚がまひしている。現実をよく見て」

 フランスでは今月2日から新型コロナ対策の規制が少々緩和された。屋外でのマスク着用の免除、文化・スポーツ施設の利用人数制限の解除、週3日のテレワークが義務から推奨へ変更された。しかし、ワクチンパスポート制度は導入中(現時点では7月末までの予定)だ。日本とフランスでの状況は異なるが、外出制限、ワクチン大規模接種、衛生パス/ワクチンパスなどを強行してきたフランスの現状をお伝えしたい。

 まず、リヨンのデモ参加者の声を紹介したい。

 「規制が緩和されて通常に戻りつつある、という感覚はありません。『衛生パス/ワクチンパス』を使ったワクチン接種の強要、分断、差別が続く限り、日常が戻ったとは決して言えません。皆、感覚がまひしています。現実をよく見てください。仏政府に『言う通りにすればご褒美をあげるよ(ワクチンを打てば、普通に行動できるワクチンパスをあげるよ)』と言われ、言いなりになっているのです。多くの人が、この取引、条件を受け入れ続けている。この状態は、ちっとも正常ではありません」(男性40代、個人事業主)

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フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。