最期まで私らしく~知っておきたい 在宅の医療・ケア~ フォロー

家族と医師 父の看取りで交わらなかったそれぞれの思い

中澤まゆみ・ノンフィクションライター
 
 

 「自宅で最後まで過ごしたい・過ごさせたい」。本人も家族もそう考えていたとしても、在宅療養では数々の予期せぬ問題が起こります。とくに終末期の医療対応については、本人、家族、医療者の間に認識のズレが生じることが少なくありません。特異なケースですが、今年1月、埼玉県ふじみ野市で訪問診療医が遺族に殺害された事件では、報道によると高齢の患者への医療ケアをめぐり、家族と医師の間で意見の食い違いもあったと伝えられます。前回紹介した、私の友人の未希さん(仮名)は、末期の肝臓がんと診断された91歳のお父さんを「自宅でみとりたい」と、訪問診療医に来てもらうことにしました。しかし、それから1カ月後に医師は「辞退」を申し出ます。今回は、その医師からも話を聞きました。

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ノンフィクションライター

なかざわ・まゆみ 1949年長野県生まれ。雑誌編集者を経てライターに。人物インタビュー、ルポルタージュを書くかたわら、アジア、アフリカ、アメリカに取材。「ユリ―日系二世 NYハーレムに生きる」(文芸春秋)などを出版。その後、自らの介護体験を契機に医療・介護・福祉・高齢者問題にテーマを移す。全国で講演活動を続けるほか、東京都世田谷区でシンポジウムや講座を開催。住民を含めた多職種連携のケアコミュニティ「せたカフェ」主宰。近著に『おひとりさまでも最期まで在宅』『人生100年時代の医療・介護サバイバル』(いずれも築地書館)、共著『認知症に備える』(自由国民社)など。