健康をつくる栄養学のキホン フォロー

「卵は1日1個まで?」「食品添加物は少ないほどいい?」気になる疑問に答えました

成田崇信・管理栄養士
 
 

 インターネットで食と健康に関する情報を発信し、食育などに関する著書も多い管理栄養士の成田崇信さん。内科医の名取宏(ひろむ)さんとの共著「今日から使える薬局栄養指導Q&A」(金芳堂)を出版しました。一般の人にとっても、真偽不明の健康情報に惑わされないため、知っておきたい知識が分かりやすく記されています。その中から、薬剤師や管理栄養士が患者や家族から聞かれやすい質問に、二人がQ&A形式で回答した内容の一部を紹介します。編集部からの質問にも答えてもらいました。一緒に学んでみませんか。

Q 「卵は1日1個まで」は正しいの?

成田 △

 望ましい卵の摂取量というのは、まだわかっていない、というのが現状です。少ないほどよいという報告もあれば、1日1個なら循環器疾患の発症を抑えられるという報告もあり、一貫した結果は出ておりません。卵の摂取量が多いほど、血中のLDL(悪玉)コレステロール濃度が高くなる傾向は確実なので、健診などで高めの数値が出ている人が控えるのはよいと思います。

 ただし、卵は栄養価が高いだけでなく、安価でおいしく、調理も比較的簡単であるという素晴らしい食品ですので、低栄養が心配される高齢者の方には適した食品だと思います。メリットとデメリットをてんびんにかけアドバイスをするようにしましょう。

名取 ×

 以前は、卵に含まれるコレステロールのため卵を食べ過ぎると体に悪いと言われていました。しかし、最近の研究では卵の消費量と心血管疾患の関連は否定的です。「1日1個」という基準に根拠はないようです。ただし、いくら食べてもよいというわけではありません。

<編集部からの質問> つまり、卵の数はそんなに気にしなくてもよい、ということなのでしょうか?

成田 コレステロール自体は、細胞の機能を維持するために必要な物質ですので、体内でも常に合成されています。食事から摂取するコレステロールが多くなると、体内で作る量を減らして調節しているんです。極端にコレステロールが多い食事をしてしまうと、その調節が追いつかなくなって病気の原因になる、と考えてもらうとわかりやすいです。ちょっと卵を食べ過ぎてしまったな、と感じたら数日間食べるのを控えるというような、だいたいの感覚でよいと思います。

Q 日本人の腸が長いって本当?

成田 ×

 剖検記録などでも人種による大きな差はなく、男女差のほうが大きいことがわかっています。女性より男性のほうが長いようです。腸の長さによって適している食べ物が異なるという主張はナンセンスです。

名取 ×

 「肉を多く食べてきた西洋人と比較して、菜食・穀物食中心の日本人は腸が長い。だから日本人は肉食には向いておらず、あまり肉を食べないほうがいい」という話がありますが、俗説にすぎません。仮に日本人の腸が長いのが事実だとしても、肉を食べないほうがいいという結論は導けません。

Q 便秘に良い食べ物はありますか? たとえばヨーグルト? 食物繊維?

成田 △

 エビデンス(科学的根拠)的には、ナタマメの食物繊維である「グアガム」を含有する食品で改善効果が示されたという報告はあります。食物繊維量の多い食べ物でふん便量が増えたり、腸内細菌叢(そう)に良い影響などが期待できますが、明確な便秘改善効果となると難しいようです。自身の経験上、最初はよいのですがすぐに体が順応してしまうように思います。特定の食べ物を続けるよりも、いろいろな食品を、量もしっかりと食べるのがよいのではと思っています。

名取 ○

 便秘に良いと「される」食べ物はたくさんあります。残念ながら質の良いエビデンスが…

この記事は有料記事です。

残り3232文字(全文4719文字)

管理栄養士

なりた・たかのぶ 1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書「新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK」(内外出版社)を執筆。共著に「各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと」(メタモル出版)、監修として「子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ」(オレンジページ)などに携わっている。