震災遺構の請戸小学校=福島県浪江町で2022年2月9日、本社ヘリから
震災遺構の請戸小学校=福島県浪江町で2022年2月9日、本社ヘリから

 東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故から11年となる春を迎えます。

 原子力には無縁だった私ですが、事故直後に、コンビニからミネラルウオーターや納豆まで消える事態を前に、「チーム中川」の名前でツイッターを始めました。

 このチームは東大病院で放射線治療を担当する「多職種チーム」です。私をはじめ放射線医学の専門医の他、原子力工学、実験物理、医学物理の専門家がスクラムを組んで、世界最高峰の放射線治療を行っています。

 チーム中川は、放射線量の測定から放射線の人体への影響まで、放射線についてのプロ集団です。未曽有の原発事故の重大性と人体への影響、さらには、とるべき行動について、一般の方にお伝えするのに最適なチームと言えるでしょう。

 2011年3月15日に始めたツイッターでは、次のようなツイートが並びました。

 「放射線とはものを突き抜ける能力が高い光や粒子のことです。そしてこれをあびる量が多くなると、遺伝子にダメージを与え人体に影響を及ぼすことがあります。放射線を出す能力を放射能、それを持つ物質を放射性物質と呼んでいます」

 「今回の原発事故では原発から放射性物質がまき散らされています。これは大きな杉の木から花粉が飛散している状態と似ています。ただし、…

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東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。