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こころの健康管理 助けを求めること、ためらわないで

佐々木 司・東京大学教授・精神科医
 
 

 寒い日が続くが、膝と腰が日々痛み、「寒さで古傷が痛む」を実感している。胃の調子も良くないが、これも寒さのせいだろう。可能ならしばらく温泉にでも行ってのんびりしたいところだが、そんな余裕はない。仕方なく膝も腰もおなかもカイロで温めていて、これが意外と効く。温まると間もなく痛みも薄れる。

 温めには別の効果もある。気持ちが和らぐことだ。「心が温まる」と言ってもよい。これには理屈がある。寒さを強く感ずる時は交感神経の働きが高まるが、交感神経は緊張や不安・恐怖が高い時にも強く働く。寒い時も怖い時も「鳥肌が立つ」が、どちらもこの神経の働きだ。寒い時には心も寒く、温まれば心も温まるわけだ。

 痛みが治まること自体も、気持ちを和らげてくれる。痛みが気持ちを沈ませることは、リウマチなど痛みを伴う慢性疾患やがんなどでよくみられる。他方、うつ病などで気持ちが沈めば、痛みも起こりやすい。うつや不安に関わるセロトニンの低下が、痛みを強めることも知られている。

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東京大学教授・精神科医

東京大学医学部医学科卒。東大病院、財団法人神経研究所晴和病院での勤務を経て、トロント大学クラーク精神医学研究所に留学。帝京大学医学部講師などを勤め、2008年に東京大教授。生活習慣や環境的諸要因と「こころと体」の健康との関連の解明、学校精神保健教育プログラム開発などを進め、英文国際誌を中心に成果を発表している。日本不安症学会理事長、日本学校保健学会常任理事。一般向け著書としては「その習慣を変えれば『うつ』は良くなる!」、共著に「精神科医と養護教諭がホンネで語る 思春期の精神疾患」