令和の幸福論 フォロー

北京パラリンピックに知的障害の選手が一人もいなかった理由

野澤和弘・植草学園大学教授/毎日新聞客員編集委員
閉会式に参加し国旗を振る各国選手団の旗手たち=北京・国家体育場で2022年3月13日、宮間俊樹撮影
閉会式に参加し国旗を振る各国選手団の旗手たち=北京・国家体育場で2022年3月13日、宮間俊樹撮影

 北京パラリンピックに知的障害の選手が参加していなかったことは、ほとんど知られていません。過去のトラブルから、知的障害の選手の参加が進んでいないというのです。国内では、知的障害のある人が安室奈美恵さんのコンサートへの入場が拒否されたこともありました。野澤和弘さんは「知的障害を持つ人が、社会で生きにくい背景には、障害についての定義があいまいなことがある」と指摘します。

定義があいまいな障害

 ロシアがウクライナへの侵攻を開始した衝撃の中、北京パラリンピックは始まった。直前にロシアとベラルーシの選手の出場が認められなくなるなど、政治の暗雲に覆われた中での開催となった。

 あまり話題にならなかったが、この北京パラリンピックには、知的障害の選手が一人も登場しなかった。

 2021年の東京パラリンピックも、過去最大規模となる約…

この記事は有料記事です。

残り8300文字(全文8659文字)

植草学園大学教授/毎日新聞客員編集委員

のざわ・かずひろ 1983年早稲田大学法学部卒業、毎日新聞社入社。東京本社社 会部で、いじめ、ひきこもり、児童虐待、障害者虐待などに取り組む。夕刊編集 部長、論説委員などを歴任。現在は一般社団法人スローコミュニケーション代表 として「わかりやすい文章 分かち合う文化」をめざし、障害者や外国人にやさ しい日本語の研究と普及に努める。東京大学「障害者のリアルに迫るゼミ」顧問 (非常勤講師)、上智大学非常勤講師、社会保障審議会障害者部会委員、内閣府 障害者政策委員会委員なども。著書に「スローコミュニケーション」(スローコ ミュニケーション出版)、「障害者のリアル×東大生のリアル」「なんとなくは、 生きられない。」「条例のある街」(ぶどう社)、「あの夜、君が泣いたわけ」 (中央法規)、「わかりやすさの本質」(NHK出版)など。