実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 「標準外」の考えは医師の言葉でもうのみにできない

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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まん延防止等重点措置が解除された京都の観光地・嵐山の渡月橋周辺を散策する観光客=京都市右京区で2022年3月22日午後0時47分、梅田麻衣子撮影
まん延防止等重点措置が解除された京都の観光地・嵐山の渡月橋周辺を散策する観光客=京都市右京区で2022年3月22日午後0時47分、梅田麻衣子撮影

 新型コロナウイルスの第1波が猛威を振るっていた2020年4月、糸井重里さんは次のツイートをし、これが全国に広がりました。「わかったことがある。新型コロナウイルスのことばかり聞いているのがつらいのではなかった。ずっと、誰かが誰かを責め立てている。これを感じるのがつらいのだ」

 当時の不穏な社会状況を見事に表現した「名作」だと私は思っています。「ロックダウンが必要だ、いや不要だ」「PCR検査数を増やさなければならない、いやその必要はない」「コロナで大勢が死亡する、いやただの風邪だ」など、医師や学者を含めて専門家と称される人たちがまったく正反対の意見を述べることもあり、さらに、ジャーナリストやプレゼンター、政治家、タレントなどが好き勝手なことを言い出し、まさに「誰かが誰かを責め立てている」状態でした。

 そのうちに、「誰かが誰かを責め立てている」は一般人に広がりました。感染者に誹謗(ひぼう)中傷が浴びせられ、マスク警察が登場し、自粛しなかったタレントが謝罪をさせられ、さらに医療従事者が美容院の出入りを断られるといった事態にまで発展しました。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。