国内で初めて新型コロナウイルスの患者が確認されたのは2020年1月15日でした。この日から先月末までの感染者は累計で500万人を超え、1日平均では6500人弱でした。

 新型コロナによる死者が初めて出た20年2月13日から先月末までの1日平均の死者数は32人。単純に計算すると、感染者のうち亡くなっていたのはおよそ0.5%。1000人に5人の割合です。

 亡くなった人の年代では、男女とも80歳代が最も多く、女性では、90歳以上が続きます。若い世代の死亡もないわけではありませんが、あくまで例外的です。

 一方、1年間にがんと診断される日本人はおよそ100万人。その4割近い38万人もの人がこの病気で命を落としています。がんは死因のトップで、全体の3割弱を占めています。がん死亡は1985年の2倍にもなっています。

 死亡者の9割が70歳以上の新型コロナと違って、がんは働き盛りの世代にとっても大きなリスクです。

 男性の15~44歳、女性の10~29歳では、自殺が死因のトップですが、それ以外のほとんどの年代で、がんが死因のトップです。

 がんが死因全体に占める割合は、20代では1割前後ですが、年齢とともに高くなっていきます。男性では60代後半がピークで、この年代では、がんは死因全体の4割強を占めます。女性では50代後半がピークで、この年代の死亡の6割近くが、がんによるものです。

 女性の方が若い年代にがん死亡のピークが来るのは…

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中川 恵一

東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。