その常識大丈夫? 健康情報総点検 フォロー

間違っています!「大腸がん内視鏡検査はつらい」の思い込み

狩生聖子・フリーランスライター
 
 

 かつて不治の病とされていたがんの多くが、長期生存が可能な「治る病気」になったように、医療の進歩がめざましいのは、皆さんもご存じの通りです。それなのに、健康な人ほど、いざ検査や治療が必要になったとき、「あの検査は怖い」「治療の副作用が心配」などと、過去の常識にとらわれて、病気を治すチャンスを逃しているケースがあるようです。皆さんの健康知識や常識は、既に過去のものかもしれないのです。

 そこで、この連載では多くの人が陥りがちな健康情報や医療情報の思い込み(つまり非常識)について、専門医への取材をもとに、アップデートされた「今」の常識を紹介します。

******

 つい最近、便秘が続き、かかりつけ医で大腸内視鏡を勧められた知り合いの男性(70)から、「大腸内視鏡検査ってつらいんだよね? 受けたくないなあ」と言われました。でも、がんによる死者数の上位を占める大腸がんを早期発見するうえで、大腸内視鏡検査はぜひ受けてほしいものです。「今の検査は昔と違って痛みはないし、心配することは全くない」と説明しましたが、納得してくれません。どうやら、かつて医療関係の仕事をしていた同年代の友人に「下手な医師のところで検査を受けると、なおさら(苦痛で)大変」と言われた(脅かされた!?)ようなのです。その思い込みは間違っているのですが……。

鎮痛剤や鎮静剤の安全性が知られ、状況は変化

 「確かに『(大腸内視鏡検査が)つらい、痛い』という時代はありました。鎮痛剤(痛み止め)や鎮静剤(不安をやわらげる薬)を使わずに内視鏡を挿入していたときは、腸が曲がったところにカメラが到達するときにどうしても痛みや不快感が出やすく、技術の伴わない医師のもとで受けると、なおさらそうなりました。その結果、『もう二度と、あんな検査はごめんだ』という患者さんは多かったと思います」

 大腸内視鏡の専門病院として知られ、年間1万6000~2万件の検査を実施している松島クリニック(横浜市)の西野晴夫院長はこのように話します。

 松島クリニックが他の病院に先駆けて鎮痛剤、鎮静剤を取り入れたのは40年ほど前。しかし、薬を使うと、まれに呼吸機能が低下する副作用があることなどから、その後に導入する施設は一向に増えなかったそうです。

 20年ほど前に私がかかわった大腸内視鏡の本にも、大腸内視鏡検査を受けた人の感想として、「出産のときのような苦しみだった」「おなかがやぶれるかと思った」と書かれていました。このような時代に大腸内視鏡検査を受けた、あるいはその姿を身近に見た人からすれば、「つらい、痛い」は当然のことでしょう。

 しかし、この状況は大きく変わっています。

 「…

この記事は有料記事です。

残り2434文字(全文3543文字)

フリーランスライター

かりゅう・きよこ 1966年神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒。OA機器商社に勤務しながら週刊誌での執筆を始め、フリーランスライターとして独立。現在は健康分野(健康、医療、医学部教育など)を中心に書籍の企画・編集、取材、執筆をしている。著書に「ぐっすり眠る!37の方法」 (宝島社新書)など。