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「がんだけじゃない」喫煙で深刻化する口の病気 歯科医が本気で禁煙を勧める理由

 
 

 喫煙による健康被害としてがんを思い浮かべる人は多いと思いますが、それだけではありません。喫煙は歯周病やむし歯など多くの口腔(こうくう)疾患にも影響を及ぼします。なかでも、歯周病は喫煙が重大な原因であり、病気を深刻化させることが分かってきました。喫煙は他にどのような口の病気に関わっているのでしょうか。日本大歯学部の尾崎哲則・元教授が、喫煙が歯周病を悪化させるメカニズムについて解説します。

喫煙がもたらす口腔への深刻な影響

 たばこは口を通して吸いますが、たばこと口の関係については意外に知られていません。喫煙は表1で示したような、多くの口腔疾患と関連するといわれています。健康障害として多くの人に関係する歯周病や、重篤なものでは口腔がんがその代表例です。近年、喫煙は歯周病の発症と進行に深刻な悪影響を及ぼしていることが明らかになり、重大な原因といわれています。また、喫煙者では歯周病の治療成績や抜歯後の傷の治りなども悪く、治療後に期待した結果が得られない場合が多いことも知られています。

 喫煙による歯周病のリスクの程度については、多くの疫学研究があります。喫煙者はたばこを吸わない人と比べ、約2~6倍歯周病になりやすいという報告があり(図1参照)、なかには10倍以上なりやすくなるという研究結果も示されています。

喫煙が歯周病を進行させるメカニズムとは

 歯周病はプラーク(歯垢<しこう>)の中に存在する歯周病細菌がつくる物質によって、歯周組織(歯を支える繊維組織や骨)に炎症が起こります。重症化すると、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)が溶けてしまい、歯を維持できなくなる疾患です。

 近年、喫煙が歯周病を進行させるメカニズムが明らかになってきました。喫煙量に比例してある歯周病細菌が増殖し、喫煙者では、過去に喫煙していた者、または非喫煙者よりも歯周病細菌が多く検出されることが報告されています。歯周病の治療をすると…

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