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ホルモン補充が脳に与える影響とは? 男性更年期の真実/3

石蔵文信・大阪大学招へい教授
 
 

 今回は、男性の更年期障害とのかかわりを指摘されることが多い男性ホルモンについて説明したいと思います。

脳に二つの命令系統

 男性ホルモンは、主として睾丸(こうがん)で作られますが、その睾丸に「ホルモンを作れ」と命令しているのは脳です。これは、ほとんどのホルモンにあてはまることです。ホルモンは体のいろいろな臓器で生産されますが、その生産をコントロールしているのは脳です。

 少し難しくなるかもしれませんが、脳の中には二つの命令系統があります。まず、脳の真ん中にぶら下がっている「脳下垂体」という小さな組織があります。その脳下垂体から、さまざまなホルモンを生産するように、もしくは減らすように命令を出すホルモンが出ます。そのホルモンが、体中のホルモンを作っている臓器に命令を届けます。そのため、脳下垂体は大切な組織と言えます。

 さらに、その脳下垂体をコントロールしている「視床下部」という部分があります。視床下部にも、脳下垂体が出すホルモンをコントロールする指令を出すという、少しややこしい機能があります。

 私は、視床下部が「社長さん」、脳下垂体が「工場長さん」、そしてホルモンを作る臓器が「工場」にあたるという説明をします。「社長」が命令をして、その命令を受けた「工場長」が各臓器に「ホルモンを作れ」と指示するというのが、一般的なホルモンの生産の流れです。

分泌を下げる二つの要因

 では、男性ホルモンは、どのような流れで生産されるのでしょうか。

 最初に、視床下部から「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」が分泌されます。それが脳下垂体に届いて、「性腺刺激ホルモン」が分泌されます。男性の場合は、「性腺刺激ホルモン」が睾丸に届けられ、「男性ホルモン」を生産・分泌します。女性は卵巣に届き、女性ホルモンを生産・分泌します。女性の場合は、閉経期になると卵巣が急激に衰えるために、女性ホルモンが作られなくなってしまいますが、脳の機能に大きな問題はありません。一方、幸いにも男性は、睾丸の機能が急に低下することはありません。

 では、男性ホルモンの分泌が下がってくるのは、なぜでしょうか? …

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大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。