現代フランス健康事情

長引くコロナ禍 フランス国民にもたらしたダメージの実相

竹内真里・フランス在住ライター
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細い小道にたくさんの土産物屋やレストランが建ち並ぶ=筆者撮影
細い小道にたくさんの土産物屋やレストランが建ち並ぶ=筆者撮影

 フランスでは4月24日の大統領選の決選投票で、マクロン現大統領が再選という結果となった。フランス国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向だが、一時中断された「ワクチンパス」(接種証明書)による制限措置など、政府のコロナ対策の行方が注目されている。今回は、筆者が訪れた地方の観光都市で聞いた人々の声を織り交ぜつつ、現在のフランスの様子をお伝えしたい。長引くコロナ禍と厳しい感染対策が国民にもたらしたダメージの実相が見えてきた。

フランスらしくにぎわい始めた観光地

 向かった先はフランス南部にある町、カルカッソンヌだ。ユネスコ世界遺産に登録された城塞(じょうさい)が有名で、国内外から多くの観光客が訪れる。

 旅行中、少数派とはいえ、外でマスクを着用している人々はいた。また、高速道路のパーキングエリアのトイレでは、ノブをじかに触らないようにティッシュペーパーを使って個室ドアを開閉したりする女性たちも複数いた。人によって、気をつける度合いの違いを垣間見た。

 カルカッソンヌの街では、城内、土産物屋、飲食店や街の小道など至る所に人がいたが、他人を避けるような雰囲気はほとんど感じられなかった。街中で聞こえてくる言語は、フランス語のほか、英語、スペイン語、イタリア語、デンマーク語、オランダ語などだった。

 米国のシカゴからやってきた年金生活者の夫婦は「見どころが多いフランスをずっと旅行したいと願っていたので、長年の夢を実行に移しました。かなり、じっと待ちましたから。状況の改善を待っているうちに、体が動かなくなり、人生が終わるかもしれないでしょう。現在、新型コロナの感染を恐れ続ける必要はあるのでしょうか。娘たちは快く送り出してくれました。夢を実現できて、とてもうれしいですよ」。

 カルカッソンヌの城のセキュリティ係員は「この街に観光客が戻ってきて幸せです。お客さんがこの街や城の歴史を知り、この街が笑顔であふれるのがうれしいですね。活気がある方がいい。お客さんがいないと私は退屈です」。

多くの市民にとって良い方向に向かっていけるのか

 今の雰囲気を喜ぶ声が多い中、次のような声もあっ…

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竹内真里

フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。