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「歯科受診は将来の健康への投資」 歯の本数と医療費の深い関係

 
 

 皆さんは、自分が1年間にどのくらいの医療費(※)を払っているか、また医科の外来診療や歯科治療など、その医療費をどのように使ったかご存じでしょうか? 国のデータから、どの程度の医療費がどのように使われているか確認することができますが、実は歯の本数の違いによって全身の医療費が異なるというデータも示されています。歯の本数と医療費の関係について、日本歯科総合研究機構の恒石美登里・主任研究員が解説します。

※ここでいう医療費は医療保険制度によるものであり、自費診療などは含みません。

1人当たりの国民医療費は年間35万円

 日本人1人当たり、年間平均でどのくらいの医療費を使っているかについては、年間にかかった国民全員の医療費をその年の人口で割ると計算できます。計算してみると、2019年度の人口1人当たりの国民医療費は35.2万円でした。図1にその内訳を示しました。医科入院に13万円、医科外来に12万円、調剤(処方される薬代)に6万円、そして歯科治療には2万円ほど使っていることが分かります。

 また、1人当たりの国民医療費を年齢階級別に見てみると、医科医療費や調剤医療費は年齢とともに高くなります(図2参照)。医科医療費は70歳を過ぎると年間40万円以上かかってきます。一方で、歯科医療費は学齢期でやや高くなる時期があるものの10代後半では低くなり、その後70代後半にかけて増えていきますが、いずれの年齢でも年間4万円以内です。

歯の本数が少なくなると医科医療費が高くなる

 日本では、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入しており、日々の医療費は診療報酬明細書(レセプト)データを活用することで確認できます。そのようなビッグデータを活用し、223万人分のデータから、ある1カ月間の医科、歯科、調剤、DPC(診断群分類包括評価)にかかる医療費と歯の本数との関連を調べてみました。…

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