人生なりゆき~シニアのための楽しい生き方・逝き方

当事者となった今、がんで死ぬのは本望ではありません

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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 前立腺がんで、全身の骨に転移し現在、放射線治療を行っている石蔵文信・大阪大招へい教授。以前は、亡くなるなら「がん」でと思ったこともあったそうですが、当事者となった今、それは本望ではないといいます。

がんで死ぬのも一つの選択肢と思っていた

 2020年に私の前立腺がんが見つかり、すでに全身の骨に転移していることがわかりました。このコラムでも散々書いていますように、がんが発見される10年以上前から、生きることと死ぬことに関していろいろな勉強をさせていただいていました。

 当時は「ピンピンコロリ」、いわゆる突然死が「最高だな」と思っていましたが、いろんな人のお話を聞くうちに私は高齢になればがんで死ぬのも一つの選択肢だと思うようになりました。前立腺がんが発見される数年前に大阪大学の仲間と共同で執筆した「とまどう男たち」という本があります。その中で私は「できればがんで死にたい」と書いています。

 しかし、実際にはがんで死ぬのは本望ではありません。おそらく終末期には痛みなどの苦しい症状が私を襲ってくると思います。そのためがんの闘病中に肺炎もしくは熱中症で死ぬのが理想だと付け加えています。少し矛盾した考え方かもしれませんが、本心は次のようなことです。

痛みから逃れる理想の最期…

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。