人生なりゆき~シニアのための楽しい生き方・逝き方

病院で終末期を迎えるのは意味のあることでしょうか?

石蔵文信・大阪大学招へい教授
  • 文字
  • 印刷
 
 

 この30年間で、がんの終末期の療養環境は大きく変化しました。前立腺がんで、全身の骨にがんの転移がみられ治療中の石蔵文信・大阪大招へい教授が、自宅でのみとりに必要な「決断」について語ります。

「平穏死」目指す病院も

 私が医師になったころは、がん患者さんのほとんどは病院で亡くなっていたと思います。その理由はまず体力が衰えてくるので点滴などの栄養補給が必要だったことと痛みや呼吸困難で鎮痛薬・麻薬や酸素が必要でしたので自宅での療養は困難でした。

 一昔前はがんの終末期にはかなり無理な治療をしていましたが、現在では麻薬や鎮痛剤などを使う緩和ケアが主流になってきています。30年ほど前から終末期の患者さんのケアをするホスピスや緩和ケア病棟を併設する病院が増えてきました。そこでは延命治療に重きを置かずに、安らかな平穏死を目指しています。

終末期に必要な医療とは

 終末期に必要な治療は、栄養補給と痛みや呼吸の緩和でしょう。最近では開業の先生の中でも緩和ケアができる人が増えてきました。また家庭用の酸素ボンベも手軽に使うことができます。自宅で点滴などの栄養補給も可能ですが、これは医療関係者がかなり頻回にケアをする必要があります。

 また、がんの終末期に点滴やチューブで栄養補給をすると胸水や腹水がたまり、それを抜く処置を週に1~2回しなくてはなりません。ではいっそのこと栄養補給を諦めて…

この記事は有料記事です。

残り664文字(全文1250文字)

石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。