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食事制限で腎不全? 医師が伝えたい食べ物の大切さとは

金子至寿佳・高槻赤十字病院糖尿病・内分泌・代謝内科部長

 病院にやって来た20代の男性の血液検査をしたところ、腎臓の機能が著しく低下していました。炭水化物を取らないようにしていたというこの男性に、一体何が起きたのでしょうか? 高槻赤十字病院(大阪府高槻市)の金子至寿佳医師が、毎日口にする食べ物の大切さについて解説します。

食事から炭水化物を取り除くと

 ある日、初診で病院に来られた28歳の男性の血液検査をしたところ、腎臓の機能を表す数値がかなり悪化していました。原因を突き止めるため、食事について男性に尋ねると、母親が友人から「糖質を含む炭水化物を食べると血糖値には良くないから食べないほうがいいよ」と言われ、徹底的に食事から炭水化物を抜いていたというのです。男性は「ビタミンは必要だから、サプリメント(栄養補助食品)から取っていました」と話しました。

 腎臓は、血液に含まれるいろいろな「かす」をろ過してきれいにする臓器です。しかし、塩分が多すぎたり、炭水化物を完全に抜いてたんぱく質と脂肪だけを食べたりしていると、腎臓の機能を表す数値が悪くなることがあります。この男性は、入院して総摂取エネルギーの55%を炭水化物から取っていただくようにしたところ、正常値に戻りました。「まだ間に合った」と安心したことを思い出します。

 他の方でも、友人の言うことを信じてたんぱく質と脂肪だけを食べ続けた結果、腎臓の機能が落ち込み、人工透析に至ったという例があります。定期受診で急に腎臓の数値が悪くなる方は、米飯を抜いていることが多いと感じます。「友人や家族に言われたから」「テレビでやっていたから」と話されますが、私は「相手の方は良かれと思っているのかもしれませんが、相手はあなたの腎臓や体調について知らないのです。自分の体調をしっかり知らなければだめですよ」とアドバイスしています。…

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高槻赤十字病院糖尿病・内分泌・代謝内科部長

かねこ・しずか 三重県出身。医学博士。糖尿病医療に長く携わる。日本糖尿病学会がまとめた「第4次 対糖尿病5カ年計画」の作成委員も務めた。日本内科学会認定医及び内科専門医・指導医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医・指導医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医・指導医、日本老年病学会認定老年病専門医・指導医。インスリンやインクレチン治療薬研究に関する論文を多数執筆。2010年ごろから、糖尿病診療のかたわら子どもへの健康教育の充実を目指す活動を始め、2015年からは小中学校で出前授業や大人向けの健康講座を展開している。