実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

HPVワクチン 「副作用」は多いか少ないか

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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HPVワクチンの積極的勧奨再開について議論し、再開を了承した厚生労働省の専門部会=東京都千代田区で2021年11月12日午後0時59分、矢澤秀範撮影
HPVワクチンの積極的勧奨再開について議論し、再開を了承した厚生労働省の専門部会=東京都千代田区で2021年11月12日午後0時59分、矢澤秀範撮影

理解してから接種する--「ワクチン」の本当の意味と効果【41】

 2022年4月1日から、子宮頸(けい)がんの予防などを目的としたHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの積極勧奨が、およそ9年ぶりに再開されました。このワクチンについては、本連載でも繰り返し取り上げているために読者の方々から多くの質問・相談を受けています。また、他のメディアに掲載された私のコラムなどを読んで連絡をしてくる人もいます。興味深いのは、私に反論してくる人の中にはワクチン賛成派も反対派もいることです。つまり、賛成派の一部の人は私が反対派であるとみなし、反対派の人は私を賛成派と考えているのです。他方、私が院長を務める太融寺町谷口医院(以下、谷口医院)では、積極的勧奨の差し控え以降もワクチン接種者はまったく減りませんでした。ちなみに、私自身は、HPVのうち四つの型に対応する「4価」のワクチンが発売された11年、発売と同時に自分に接種しました。このワクチンは当時、男性への接種は認可されていませんでしたが、それでもすぐに接種すべきだと判断しました。今回は、HPVワクチンの特徴を改めて整理して、誰が受けるべきで誰が受ける必要がないかについて再検討したいと思います。

 まず、このサイトで何度も繰り返しているように、ワクチンの原則は「理解してから接種する」です。これは、裏を返せば「理解した上で接種しない」という選択肢もあるということです。

 では、何を「理解」すればいいのでしょうか。まずはHPVという病原体について。次にHPVがもたらすそれぞれの疾患について。そしてワクチンの効果と副作用です。なお、日本ではワクチンの副作用のことを「副反応」という文化(?)がありますが、私自身がこれらの違いがよく分からないため本稿では「副作用」で通します。ちなみに英語では薬の副作用もワクチンの副作用も同じ「side effect」です。

子宮頸がん…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。