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前立腺がんが全身の骨に転移、新治療法の効果は?

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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 2021年末にホルモン治療の効果がなくなり、もう駄目かと観念したときに遺伝子標的治療薬が私の前立腺がんに効果があることがわかり、服用してからかなり体調は改善しました。しかし、その薬の副作用で吐き気と下痢、そしてかなり強い貧血に悩まされています。

放射線治療を開始

 奇妙なことに検査をすると前立腺にある原発巣はかなり良くなっていますが、全身の骨にがんが広く転移していることがわかりました。遺伝子標的薬は主にがんが増殖しないことを目標にしていますので、がんが急激に少なくなることはありません。現在服用している薬でなんとかがんが広がらないようにするのが精いっぱいでしょう。

 現在の私の問題点は全身の骨に散らばった前立腺がんです。もはや、前立腺がんと呼ぶのが適切かどうかも疑問です。一昔前なら手の施しようがありませんでしたが、「ラジウム223」を含んだ治療薬(ゾーフィゴ)が骨の代謝が活発になっているがんの骨転移巣に集まり、そこから放出されるアルファ線が骨転移のがん細胞の増殖を抑える技術が臨床応用されました。

 これで私はがんの増殖を抑える一方、全身の骨に転移したがんを攻撃するという治療法を得ることができました。月に1回、6カ月間継続する予定です。治療法は静脈注射だけですので入院の必要はなく、日帰りでできます。

 ただ骨に集まったがんだけをやっつけてくれたら良いのですが、骨には白血球や赤血球などを作る骨髄という大切な部分があります。当然骨に集まってきた放射線は骨髄の細胞にも影響し、いわゆる骨髄抑制、白血球や赤血球、血小板などが減少する副作用があります。

深刻な副作用とは?

 現在私は貧血で苦しんでいますので、…

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。