Dr.中川のがんのひみつ

始まったがん教育 子どもの学びに期待

中川 恵一・東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授
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高校での「がん教育」実施に向け、教員向けの研修会も開かれた=大阪市住吉区で2022年1月、高野聡撮影
高校での「がん教育」実施に向け、教員向けの研修会も開かれた=大阪市住吉区で2022年1月、高野聡撮影

 日本は、男性の3人に2人、女性でも2人に1人が、がんに罹患(りかん)する世界トップクラスの「がん大国」です。

 しかし、まだまだ高い喫煙率や際立って低いがん検診受診率、手術偏重のがん治療、緩和ケアの遅れなど、がん対策上の課題が山積しています。先進国の中で、がん死亡数が増え続けているのは日本くらいです。

 この背景には、国民が「がんを知らない」という現実があると思います。がんは、ちょっとした知識と、それによる行動によって大きく運命が分かれる病気だからです。

 これまで日本では、学校でがんを習う機会はほとんどありませんでした。それどころか、病気のことを全く習わずに大人になった日本人がほとんどかもしれません。

 一方、欧米の多くの国では、「体育」と「保健」は別の教科になっていて、保健の授業では、がんの経験者を教室に招いて体験談を聞くなど、がん教育にも力を入れています…

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中川 恵一

東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。