“子ども食堂”の時代―親と子のSOS― フォロー

「こども家庭庁」が充実目指す“第三の居場所” 期待される効果と地域格差

可知悠子・北里大学講師
 
 

 政府が来年4月の発足を目指す「こども家庭庁」の設置法案が17日、衆院本会議で可決されました。法案が成立すると、現在は内閣府と厚生労働省が担っている児童虐待や貧困、少子化問題など、子どもに関するさまざまな業務が移管され、新たな業務として「こどもの居場所づくり」が加わります。子どもの居場所にはどのようなものがあり、どのような効果をもたらすのでしょうか。今回は、居場所づくりの意義や課題について考えます。

子どもにとって居場所はいろいろあるのがいい

 子どもの居場所とは、どこを指すのでしょうか。家庭や学校は子どもが長く過ごす居場所ですが、児童虐待やいじめなど、子どもによっては安心できる場所とは限りません。こども家庭庁では、それ以外のサードプレース(第三の居場所)として「放課後児童クラブ」「児童館」「子ども食堂」「学習支援の場」などさまざまな居場所を挙げ、これらをより充実させていく予定です。こうした行政がかかわる居場所に加え、塾や習い事、近所の親戚の家なども、子どもにとって大切な居場所です。

 安心できて居心地の良い場所は、子どもにとってさまざまです。家庭で安心できなくても、学校で安心できている子どもたちがいます。また、学校の友だちとうまくいっていなくても、塾の友だちと楽しく過ごせている子どももいます。子どもにとってさまざまな居場所の選択肢があることが望ましいでしょう。

 私の息子は4月から小学1年生になりました。新型コロナウイルスの感染対策のため、給食は「黙食」ですし、授業間の休み時間は自分の席で折り紙などをして静かに過ごしています。そのため、学校の先生方は一生懸命見てくださっているものの、なかなか友だちができず、学校はまだ居心地の良い場所にはなっていません。しかし、学童保育や習い事で保育園の時の友だちと会うことで、安心感を得ているようです。

居場所における家族以外とのつながりがもたらす効果

 家庭や学校以外の居場所には、子どもたちにとってどのような効果があるのでしょうか。学術的には、居場所は家族以外との「つながり」を通じて、さまざまな効果をもたらすとされています。

 たとえば、(1)他者とうまくやる社会的スキルが身につく(2)困った時に助けてくれる人を持てる(3)自分とは違う価値観や習慣に触れることができる(4)親以外のロールモデルができる(5)自分を信頼し、世話をしてくれる大人の存在によって自尊心が育つ――といった効果です。

 東京医科歯科大学の藤原武男教授(公衆衛生学)らが、サードプレースの存在と自尊心との関係について調べた希少な研究があります。東京都足立区に住む1635人の小中学生を対象に調査した結果、家庭や学校以外に居場所が「ある」子どものうち、自尊…

この記事は有料記事です。

残り2037文字(全文3176文字)

北里大学講師

かち・ゆうこ 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年から10年間、臨床心理士として子どもや女性のカウンセリングにあたる。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座助教、日本医科大学衛生学公衆衛生学教室助教を経て、18年4月から北里大学医学部公衆衛生学単位講師。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室客員研究員、国立成育医療研究センター社会医学研究部共同研究員、首都大学東京客員准教授。著書に「保育園に通えない子どもたち――『無園児』という闇」(筑摩書房)、共著に「子どもの貧困と食格差~お腹いっぱい食べさせたい」(大月書店)。自身も子育て中。労働者とその子どもの健康の社会格差をテーマに研究を行っている。