現代フランス健康事情

たばこ大国のフランス 喫煙者の本音はどこに?

竹内真里・フランス在住ライター
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 毎年5月31日は、1989年に世界保健機関(WHO)が制定した世界禁煙デーだ。フランスでは今月いっぱい、公衆衛生局を中心に禁煙キャンペーンが行われている。経済協力開発機構(OECD)の2019年のデータで、フランスは毎日喫煙する15歳以上が24%と、先進7カ国中ワースト1位の「たばこ大国」だ。16.7%で4位の日本でも、同日から6月6日まで禁煙週間となっている。今回は、たばこに関するフランス現地の様子や愛煙家の声を交えつつ、喫煙が及ぼすさまざまな問題を考えたい。

改善されない吸い殻のポイ捨て

 フランスの街を歩くと、男女問わず、日本より喫煙者が多い印象を抱く。受動喫煙の機会は多い。前を歩いている人の歩きたばこ、メトロの駅のホームでも吸っている人がいる。オフィスの前では、ちょっと一服しに出てきた愛煙家たちが集っておしゃべりしている。

 歩道脇や街路樹の植え込み、花壇などにはかなりの量の吸い殻がたまっている。吸い終わると靴でもみ消すこともせず、ポイッと投げ捨てていく。ちなみに吸い殻のポイ捨ては68ユーロ(日本円で約9165円)の罰金(犬のフンの放置も同様)だが、取り締まりを見かけることはなく、そもそも公共の場の美化や環境のためにポイ捨てをやめようという人が少ない。パリでは市の清掃員がこまめに掃除をしており、たまった吸い殻は歩道脇に設置された清掃用の水で流され、下水に流れていく。パリの吸い殻量は17年の資料で350トンだそうだ。

 子どもたちが遊ぶ遊具エリアの入り口には、喫煙禁止マークが掲示されている。知ってか知らでか、たばこをふかす大人がいる。ベンチの下には吸い殻が残されている。ベビーカーを押す大人の片手に、たばこがあることもある。ベビーカーに赤ちゃん、横に幼い上の子どもが一緒に歩いていて、確実に受動喫煙をしているが、特に気にしている様子はない。

 自宅で窓を開け放していると、隣人のたばこの煙が入ってくる。アパルトマン(集合住宅)では、上階からのポイ捨て問題がたびたび起こり、下の階の住民の悩みの種だ。

 さて、大都市ではこのような光景が見られるが…

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竹内真里

フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。