実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 「私は後遺症」と悩む患者は5タイプに分けられる

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
  • 文字
  • 印刷
新型コロナウイルスの感染状況を示す「大阪モデル」が4カ月半ぶりに「緑信号」になり、緑色にライトアップされた通天閣=大阪市浪速区で2022年5月23日午後7時15分、望月亮一撮影
新型コロナウイルスの感染状況を示す「大阪モデル」が4カ月半ぶりに「緑信号」になり、緑色にライトアップされた通天閣=大阪市浪速区で2022年5月23日午後7時15分、望月亮一撮影

 前回のこのコラム(新型コロナ 取り残される「免疫能が低下した人たち」)では、新型コロナウイルス感染症を恐れる人が減りつつある現在でもなお、「新型コロナが恐怖となる人=免疫能が低下している人」の話をしました。世間の「新型コロナ終わった感」はますます加速しているようで、「まだコロナ、コロナって言ってるの?」という言葉を口にする人すらいます。そういう言葉こそが免疫能が低下している人を傷つける、という話も前回しました。

 今回取り上げるのも、依然として新型コロナに苦しめられている人たちの一部で「ポストコロナ症候群で苦しむ人たち」です。新型コロナの後遺症については、国内外で「long Covid」という表現が人口に膾炙(かいしゃ)してきましたが、私としては、後述するような理由から「ポストコロナ症候群(Post Covid syndrome)」の方がいいと考えています。

「後遺症の存在」を2年前に確信

 私が、新型コロナには後遺症が存在するに違いない、と確信したのは2020年の春、以前から太融寺町谷口医院をかかりつけにしているある患者さんから相談を受けたときでした。実は、その患者さんの前にも、不安な様子で「新型コロナにかかったに違いない。感染した後、症状が続いている」と訴える人はそれなりにいたのですが、単なる不安感からくる不定愁訴であることが多かったのです(「不定愁訴」とは、患者さんには頭痛や疲労感などさまざまな自覚症状があるけれど、検査をしても異常が見つからない場合に、医師がよく使う診断名です)。ところがこの患者さんは長年の診察から判断してそのようなことを言いだすタイプではありません。

 そこで私は「新型コロナには後遺症があるに違いない」と考えました。そして「ポストコロナ症候群」という病名を勝手に命名し、本連載に掲載したのが20年5月12日の記事「新型コロナ 治療後に健康影響の懸念」です。そしてその後、多くの患者さんを診察するなかで、長期にわたり持続する症状は倦怠(けんたい)感と抑うつ感が多いことから、それらは酸素不足から起こった脳の細胞の炎症ではないかと考え、まとめた記事が「新型コロナ 後遺症の原因は『脳の酸素不足』か」でした。

 さらにその後、長期間にわたり症状を訴えるのは中年女性に多いこと、既存…

この記事は有料記事です。

残り3168文字(全文4126文字)

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。