子どもの健康“あるある”相談室

風邪でせきが1カ月くらい続くのは「普通」 ホームケア三つのポイント

白井沙良子・小児科医/小児科オンライン所属医師
  • 文字
  • 印刷
 
 

 子どもが“保育園・幼稚園デビュー”したら、風邪……。治ったと思ったら、また風邪……。こんな経験をして困っている親御さんも多いのではないでしょうか。1歳未満では、1年に6回以上も風邪にかかるといわれていますが、症状が続くと心配になりますよね。風邪の症状に多い、長引くせきや鼻水にどう対処すればいいのでしょうか。医学的な考え方とあわせて紹介します。

普通の風邪でも、せきは1カ月くらい続く

 特別な病気でなくても、風邪を引いた際のせきは、かなり長引くのが「普通」です。

 子どもが風邪を引いてから、どれくらいで症状が治まるかを調べた研究では、せきは25日目くらいにやっと治まると報告しています。1カ月くらいたってもせきが続くのは、風邪における通常の経過なのですね。

 風邪の後にどうしてせきが長引くのでしょうか。理由の一つとして、風邪のウイルスが消失した後も、子どもは気道の過敏性が高い状態が続くため、ちょっとした刺激でせきが出てしまうといわれています。この場合は「感染後咳嗽(がいそう)」などとも呼ばれ、診察や検査をしても異常は見られませんし、ガイドライン(※1)では特別な治療も必要ないとされています。

せきや鼻水をすぐに“止める”薬はない

 子どものせきをなんとか止めたい!と思うのが親心ですが、実は「確実にせきを止める」という明確なエビデンス(科学的根拠)がある薬はありません。

 お子さんの風邪で病院を受診すると、おそらく最も処方されるのはカルボシステイン(商品名:ムコダイン)でしょう。しかし、これはせきを止める薬ではなく、たんをサラサラにする作用のある薬です。粘り気のあるたんが喉の奥に垂れ込むことで、せきが出るのを防ぐ効果があります。

 しかし、うまく薬を飲むことができても、せきが改善してくるのは内服7日目くらいからという報告もあります。

 また、せき止め薬や抗アレルギー薬なども、お子さんの風邪症状に有効ではないことが複数の研究から報告されています(※2、3)。なお、たんが絡んでいない乾いたせきの場合は、麦門冬湯(ばくもんどうとう)という漢方薬が効くことが明らかになっています。ただし、これも内服4~5日目から効果があるというもので、やはり多少の時間はかかります。

 もし薬が飲めたとしても、せきがすぐに改善する、というわけではないのです。

黄色の鼻水は免疫が働いている証拠

 透明だった鼻水が黄色っぽくなってくると、風邪が悪化したのでは?と心配になるかもしれません。しかし、鼻水が黄色くなるのは、必ずしも風邪が悪化し…

この記事は有料記事です。

残り2569文字(全文3626文字)

白井沙良子

小児科医/小児科オンライン所属医師

しらい・さよこ 小児科専門医。「小児科オンライン」所属医師。IPHI妊婦と子どもの睡眠コンサルタント(IPHI=International Parenting & Health Insutitute、育児に関するさまざまな資格を認定する米国の民間機関)。慶応大学医学部卒。東京都内のクリニックで感染症やアレルギーの外来診療をはじめ、乳幼児健診や予防接種を担当。2児の母としての経験を生かし、育児相談にも携わる。***小児科オンラインは、オンラインで小児科医に相談ができる事業です。姉妹サービスの「産婦人科オンライン」とともに、自治体や企業への導入を進めています。イオンの子育てアプリより無料で利用できます。詳細はこちら