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経験を判断する過程を助けて元気に導く認知行動療法

大野裕・精神科医
生前、学生対象のトレーニングに参加したアーロン・ベックさん(右)。隣は娘のジュディス・ベックさんⒸ 2017 Beck Institute for Cognitive Behavior Therapy.
生前、学生対象のトレーニングに参加したアーロン・ベックさん(右)。隣は娘のジュディス・ベックさんⒸ 2017 Beck Institute for Cognitive Behavior Therapy.

 7月18日は、昨年100歳で亡くなったアーロン・ベック先生の誕生日です。ベック先生が設立したベック認知行動療法研究所はその日をAaron T. Beck Dayと名づけて、ベック先生とゆかりのある世界の認知行動療法の専門家からのビデオメッセージを流すことになっています。私にも依頼が届いて、先日、苦労して英語でメッセージを吹き込んで送信することができました。

 Aaron T. Beck Dayにはまた、それぞれの専門家が、自分のコミュニティーの人たちにベック先生の考えを伝えることになっていて、私もベック先生との出会いやベック先生への思いを語った動画を、自分のユーチューブチャンネル「こころコンディショナーチャンネル」に配信する準備を始めました。

 昨年、ベック先生が亡くなったことを伝えた私のツイッターのインプレッション数(広告が表示された回数)は25万件を超えています。世界で、そして日本で、ここまで注目されているベック先生が作った認知行動療法とはどのようなものなのでしょうか。今回からは、認知行動療法について具体的に解説します。

人それぞれ違う出来事の受け取り方

 認知行動療法は、「認知」に注目してこころを整え元気にする心理的なアプローチです。「認知」とは、自分が体験していることを認識して判断するこころの情報処理のプロセスです。

 私たちは日々…

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精神科医

おおの・ゆたか 1978年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科学教室入室。コーネル大学医学部、ペンシルベニア大学医学部に留学を経て、慶応義塾大学教授を務めた後、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センターセンター長に就任、現在顧問。認知行動療法研修開発センター理事長。国際的な学術団体 Academy of Cognitive Therapy の設立に関わり、日本認知療法・認知行動療法学会、日本ポジティブサイコロジー医学会の理事長。認知行動療法学習サイト「こころのスキルアップトレーニング」やAIチャットボット「こころコンディショナー」を発案・監修。