その常識大丈夫? 健康情報総点検 フォロー

顎が痛む、口が開きにくい……「顎関節症」は怖い病気?

狩生聖子・フリーランスライター
 
 

 「顎(がく)関節症」という病名を耳にしたことはありませんか。「原因不明の病気」「一度、発症したらなかなかよくならない病気」という印象を持っている人も多いかもしれませんが、近年研究が進み、痛みの発生する原因や効果的な治療法が明らかになってきています。そこで今回は顎関節症について、日本顎関節学会(http://kokuhoken.net/jstmj/)の理事でグリーンデンタルクリニック理事長の島田淳歯科医師に詳しく聞きました。

顎関節症はなぜ起こる?

 厚生労働省が発表した「平成28(2016)年歯科疾患実態調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-28.html)によると、顎関節(あごの関節)に何らかの症状がみられる患者数は推定約1900万人。実際、顎関節に何らかの不具合を感じ、顎関節症を疑っている人もいらっしゃるでしょう。

 顎関節症の主な三つの症状は、「顎が痛む」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」です。これらの症状が起きた結果、「硬いものがかめない」「大きなものが食べにくい」「顎の音が煩わしい」などの悩みが生じます。

 「顎関節には顎を動かすための代表的な筋肉が三つあります。下顎に付いている大きな筋肉である『咬筋(こうきん)』、頭の横に付いている『側頭筋』、耳の後ろから鎖骨に伸びる『胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)』です。これらの筋肉を使いすぎたり、緊張によって血流悪化が起こったりすると、こりや痛みを生じます。いわゆる筋肉痛の状態ですね。腰痛や肩こりのような状態が、顎に起こっているイメージでとらえていただくといいでしょう」

 さらに、「かみ合わせが不良」「歯をかみしめたり(くいしばり)、ほおづえをついたりする癖」「歯ぎしり」「うつ伏せ寝、横向き寝など眠っているときの姿勢」「楽器の演奏やカラオケ」「心理的ストレス」など、顎関節に負担をかけることで発症しやすくなると島田さんは言います。かみ合わせです。

 「その中でも特に多いのが、『軽いかみしめ』で、『上下の歯列の軽い接触癖(TCH=Tooth Contacting Habit)』といわれます。起きているときに自覚がないまま長時間、歯を軽くかみしめていることが顎関節症の引き金になります。一方で、顎関節症の発症要因は一つだけではありません。また、ほとんどの場合、ストレスが関与しているという特徴があります」

 仕事や人間関係などでストレスがかかると、緊張状態が続きます。その結果、自律神経のバランスが崩れて、交感神経が働きすぎるようになり、血管が収縮し、血流が悪化します。また、ストレスが多いと無意識のうちに歯をくいしばることが多くなるため、顎の筋肉や関節に負…

この記事は有料記事です。

残り2294文字(全文3434文字)

フリーランスライター

かりゅう・きよこ 1966年神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒。OA機器商社に勤務しながら週刊誌での執筆を始め、フリーランスライターとして独立。現在は健康分野(健康、医療、医学部教育など)を中心に書籍の企画・編集、取材、執筆をしている。著書に「ぐっすり眠る!37の方法」 (宝島社新書)など。