ほむほむ先生のアレルギー入門

消化管へアレルゲンを届けると改善する? アレルギー治療のカギ「経口免疫寛容」

堀向健太・東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科助教/アレルギー専門医
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 連載第1回では、炎症(湿疹)のある皮膚がアレルギーを悪化させる原因になるという「経皮感作」についてお話ししました。しかし、アレルギーが悪化するルートだけではなく、改善するルートも知りたいところですよね。そこで今回は、アレルギーを改善させたり予防したりするルートを解説しましょう。

「寛容」と「免疫」

 さて突然ですが、皆さんは、昨日、食事をしたでしょうか。

 多くの方は、たとえばオムレツやヨーグルト、パンを食べたことでしょう。そしてそれらを消化し、体の一部として取り入れたことでしょう。

 これは当然のことと感じるかもしれませんが、本来、卵や牛乳、小麦のたんぱく質は人間の体から見ると“異物”といえます。極端な例を挙げるならば、臓器移植などで体に自分自身と異なるものを植え込むと拒絶反応を起こす……そんな状況を思い浮かべると、食べ物を体に受け入れるには何らかのメカニズムが働いていることが分かると思います。

 消化管にはもともと、異物であるたんぱく質を体に受け入れるような「寛容」という働きがあるのです。

 では、別の状況を考えてみましょう。たとえばウイルスや細菌が人の体の中に入ってくると、人間の体は、ウイルスや細菌を排除するような反応を起こします。その働きを「免疫」といいます。

 これも当然と思われるでしょうけれど、免疫は、口から入った食物に行き過ぎた反応をして拒絶しないように、緻密な働きによって受け入れていたのです。口から取り込んだ食物に免疫が反応しないように食べることのできる仕組みを「経口免疫寛容」といいます。

 すなわち食物アレルギーとは、この免疫寛容のメカニズムが崩れ、免疫細胞が寛容できずに、行き過ぎた免疫反応を起こすことをい…

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堀向健太

東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科助教/アレルギー専門医

ほりむかい・けんた 小児科医。医学博士。専門は小児科、アレルギー科。日本小児科学会専門医・指導医。日本アレルギー学会専門医・指導医・代議員。広報委員・啓発活動委員会委員。日本小児アレルギー学会代議員。研究推進委員会委員・広報委員会委員。2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初の保湿剤によるアトピー性皮膚炎発症予防に関する介入研究を発表。各種SNSの総フォロワー数12万超。毎日、外来、教育、研究を続けながら、Yahoo!個人オーサー、Voicyパーソナリティ、Newspicsプロピッカー、アメブロオフィシャルブロガーなど、さまざまな媒体で根拠のある医学情報を発信。医学専門雑誌に年間10本以上、一般向け医学記事を20本以上執筆。著書に「マンガでわかる! 子どものアトピー性皮膚炎のケア」(内外出版)、「ほむほむ先生の小児アレルギー教室」(丸善出版)、「小児のギモンとエビデンス ほむほむ先生と考える 臨床の『なぜ?』『どうして?』」(じほう)など。