実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 今も残る「2度目の後遺症」の心配

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、抗原検査を受けずに検疫カウンターに向かう人たち(右)。検査が必要な人、登録情報に不備がある人などは看板左のレーンに通される=成田空港で2022年6月1日午前8時48分、北山夏帆撮影
新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、抗原検査を受けずに検疫カウンターに向かう人たち(右)。検査が必要な人、登録情報に不備がある人などは看板左のレーンに通される=成田空港で2022年6月1日午前8時48分、北山夏帆撮影

 「新型コロナウイルスには、一度感染すればもうかからないのでは?」という希望的観測が消え去ったのは2020年8月24日のことでした。世界初の新型コロナ再感染の事例を香港の科学者が報告しました。その後、再感染は世界中で次第に増え、再感染どころかいまや3回目の感染も珍しくなくなりました。しかもワクチン接種を受けていても、です。ただし、再感染時に重症化することはさほど多くなく(ないわけではありません)、楽観する声もあります。「複数回ワクチン接種を受け、複数回感染すれば、その次に感染したときは軽症で済む。だから新型コロナはもはや恐れるに足りない感染症だ」という声は次第に大きくなってきています。けれども、無条件で楽観することに危険性はないのでしょうか。

 私が院長を務める太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)の患者さんのなかにも「新型コロナに感染するのは今回で3回目」という人が増えてきています。谷口医院では「オミクロン株に2回感染」という人はまだいませんが、海外ではすでに報告があります。例えば、アメリカではオミクロン株の中のBA.2系統とBA.2.12.1系統、南アフリカではBA.4系統とBA.5系統に感染した事例が、米紙ニューヨーク・タイムズの記事で紹介されています。

 この記事で取材を受けている米国のウイルス学者、Kristian Andersen氏は「いずれほとんどの人が年に2、3回は感染するようになるだろう」と述べています。社会全体でみれば(公衆衛生学的にみれば)、新型コロナが「軽症化」…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。