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がんを守る細胞を攻撃 楽天メディカルが臨床試験開始へ

永山悦子・論説委員
光免疫療法に取り組む医師たち。薬剤を投与後し、20~28時間後に患部にレーザーで光を当てて、がん細胞を破壊する=楽天メディカル提供
光免疫療法に取り組む医師たち。薬剤を投与後し、20~28時間後に患部にレーザーで光を当てて、がん細胞を破壊する=楽天メディカル提供

 がん光免疫療法の開発に取り組む楽天メディカルが1日、がんを免疫細胞から守っている「制御性T細胞」を攻撃する新しいがん治療法の臨床試験を、国内で実施すると発表した。日本医療研究開発機構(AMED)が資金を支援するプログラムに採択され、正式に契約を締結した。

ターゲットは免疫抑制細胞

 光免疫療法は、がんの表面に結びつく薬を投与し、患部に当てたレーザー光に薬剤が反応することによって、がん細胞をピンポイントで破壊する。同社が開発した頭頸部(とうけいぶ)がん向けの薬と光を当てる医療機器が2020年9月、世界に先駆けて日本で承認された。

 承認を受けた薬剤は、がん細胞を直接攻撃する仕組みだが、今回はがんではなく制御性T細胞をターゲットにする。制御性T細胞は、がんの周りに集まることによって、異物を攻撃する免疫細胞の活動にブレーキをかけ、がん細胞の増殖を助けている。坂口志文・大阪大栄誉教授が発見した。

 同社は、米国で頭頸部がんと皮膚がんの患者に対して、制御性T細胞にくっつく薬を投与し、がんの周辺に光を当てる臨床試験を始めている。がんの周りの制御性T細胞を壊し、免疫細胞のがん細胞への攻撃を促して治療するのが狙いだ。

免疫細胞の攻撃力がアップ

 一方、国内の臨床試験で対象とするのは、肝臓へ転移したがんだ。がんが進行すると肝臓へ転移する患者が多い。転移がんの周りの制御性T細胞を光免疫療法で壊すことによって、転移がんを治療するとともに、免疫細胞ががんへの攻撃力を得て、原…

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論説委員

1991年入社。和歌山支局、前橋支局、科学環境部、オピニオングループ、医療プレミア編集長など経て、2022年4月から論説委員。2010年に小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還をオーストラリアの砂漠で取材し、はやぶさ2も計画段階から追いかける。ツイッターは、はやぶさ毎日(@mai_hayabusa)。好きなものは、旅と自然と山歩きとベラスケス。お酒はそこそこ。