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建て替え困難な都市部の病院 移転成功へと導いたのは

移転前の木村病院=木村病院提供
移転前の木村病院=木村病院提供

 全国に約7000ある一般病院(20床以上)のうち、4分の1が建て替えを迫られています。いずれの施設も39年という法定耐用年数を超えたためですが、そこに国の地域医療構想に基づく病院の再編・統合も加わり、病院経営者の頭をいっそう悩ませています。この「難問」にいかにして取り組むべきなのか。都心での近隣移転を今年5月に実現させた木村病院(東京都荒川区)の理事長で、全日本病院協会常任理事の木村厚さん(72)と、院長の木村玄さん(42)に、移転成功の秘訣(ひけつ)を聞いてみました。【編集編成局次長・田中泰義】

土地もなく、収益性も低い

 ――戦後の日本は、国民の診療体制を確保しようとして一般病床を増やし続けた結果、病院間の過当競争に伴う経営不安や、収入を増やすための過剰診療が社会問題化しました。政府は1985年に都道府県の2次医療圏ごとに必要病床数を設定する医療計画を導入し、その3年後を期限としたため、85~88年に増床申請の動きが加速しました。

 ◆(理事長) 43年に診療所として開院した木村病院も、国内の医療情勢を反映した歩みを進めてきました。患者さんの療養環境を向上しようと、88年に増築し、病床数は60床から102床に増やしました。その後、歳月とともに病床数は増減していますが、建物は老朽化し、一般的な病院の建て替え時期と言われる築30~40年を超えました。新型コロナウイルスの患者さんなどを診察する発熱外来を行う独立した診察室を新設したほか、超高齢社会を迎えたことを念頭に、在宅復帰に向けリハビリや退院支援などの医療を提供する「地域包括ケア病床」を充実させました。

 ――建て替えの候補地探しは難航を極め、見つかるまでに十数年以上を要したと聞きました。

 ◆(理事長) はい。理由は二つあり…

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