真夏日を記録する暑さとなり、日傘を差して水辺を散策する人たち=福岡市中央区で2022年6月4日午後3時49分、徳野仁子撮影
真夏日を記録する暑さとなり、日傘を差して水辺を散策する人たち=福岡市中央区で2022年6月4日午後3時49分、徳野仁子撮影

 各地で梅雨に入り、本格的な夏が近づいてきました。夏は夏休みやレジャーが楽しみな季節ですが、救急医としては、熱中症が気になる季節でもあります。今年もすでに「小学生多数が、熱中症らしい症状で救急搬送された」などの報道が出始めました。盛夏にはまだ間があり気温はそれほどでもない今の時期でも、体が暑さに慣れていないと、熱中症になってしまうことがあるのです。熱中症の予防には、本格的に気温が上がる前、つまり今ごろから熱中症について知り、備えていただくとよいでしょう。今回はそのための話をしたいと思います。

 熱中症についての啓蒙(けいもう)はかなり進んできました。それでも、悲しいことに学校や職場で亡くなる方が毎年いらっしゃいます。どうにかして防いでいきたいところです。まずは、学校での死亡事例の統計をみてみましょう。

中学・高校の1、2年生は気をつけて

 リンク先にある、環境省の資料の2枚目(45ページ)をご覧ください。過去40年ほどの間に、保育園から高等専門学校までで起きた、熱中症による死亡事例をまとめたものです。中学校でも高校でも、1、2年生で死亡事故が多く起きていることがわかります。単純に「年齢が低いほど死亡事故が多い」という関係にはなっていません。

 これは、中学や高校に入学して運動部に参加するなどした生徒が、新しい学校で、暑い中での練習に慣れない段階で、熱中症を起こしているようにもみえます。予防には、生徒本人が無理な運動を避け、具合が悪くなったら早めに運動をやめる必要がありますが、ほかに指導者(大人)が休憩を取らせたり、十分な水分補給をさせたりするのも大切です。独立行政法人「日本スポーツ振興センター」の資料には、ラグビー部の早朝練習に参加して熱中症を起こした中学1年の男子生徒に対し、顧問教諭が「しんどいふりするな」などと言ってさらに練習を課し、生徒が死亡した事例が掲載されています。

 中高生に限らず、屋外での活動・仕事の経験が少ない人は、いきなり屋外で長時間の活動・作業をしない方がよ…

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国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授、21年4月から主任教授(同大成田病院救急科部長)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。