子どもは3密で育つ!?~コロナ時代の学校から

「結局、マスクは外していいの?」混乱する学校現場

岡崎勝・小学校非常勤講師、雑誌『お・は』編集人
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多くの児童がマスクを着用して行われた体育の授業=2021年12月、宮間俊樹撮影
多くの児童がマスクを着用して行われた体育の授業=2021年12月、宮間俊樹撮影

 新型コロナウイルスの感染者数が減少するなか、政府は、指針の改訂や事務連絡を通じて、学校現場でマスクを外せる場面などを示しました。しかし、読めば読むほど現場には戸惑いが広がっています。

マスクをしない「普通」がうれしい

 3年ぶりの水泳の授業では、教員だけが「水泳用マスク」という口鼻用のれんみたいなものを着用し、「なにぃ〜それ」と高学年女子に笑われ、トホホである。プールサイドから子どもたちに「大声で、はしゃがないの!」とハンドマイクで教員が叫んでも、テンションの高いノーマスクの子どもたちにはなかなか伝わらない。そのむなしさに思わず笑ってしまう。マスクのない子どもたちが水しぶきをあげているという「普通」はうれしいものだ。

 しかし、学校の日常はマスク着用からはなかなか離脱できないでいる。

 「子どもって可愛いですね、マスクを外して話ができると、すごく気分が良いです」と同僚たちが言う。でも、一方で、「マスクを外すのって、けっこう恥ずかしいですね。それに外しましょうと言っても外さない子どもが結構多いんです」と言う。私も指導していて強く感じる。マスクが外せない。能面か何かが顔に張り付いて取れなくなる「嫁脅しの肉付き面」の話があるが、マスクも肉付きになりつつあるようだ。「外しましょう」と言って簡単に外せるものではないことも分かった。

熱中症対策と感染症対策、どちらを優先?

 政府見解と文部科学省通知で「子どもたちのマスクの着用が中止になるかもしれない」と思いきや、まったく現場にそんな気配はない。どこが変わったの?と保護者に尋ねられても、その説明も中途半端で「なんだかよくわからないわね」と言われ、「結局、いままでとかわりないわけですね!」と念を押されてしまう。

 6月の半ばには「新型コロナウイルス感染症対策としてのマスクの着用について」の「追加プリント」が保護者に渡された学校もある。つまり、「結局、マスク外していいのか?」という説明不足への補足説明である。

 「体育などで、熱中症リスクが高くなることが想定されるため、熱中症対策を優先し、児童生徒に対してマスクを外すように指導します」という「追加」のアナウンスである。「外すように指導します」が付け加わった。

 「で? 何?」、結局、外させることにする。しかし、「熱中症対策」だから?マスクを外すのであり、「新型コロナウイルス感染症」に関わってマスクを外すのではないのだ……。

 よく分からない、というかリスクの優先順位によるのだろうか。「熱中症の危険がなければ、マスクは今まで通り着けるのですか?」と悩んでいる。教員は外していいのか? 微妙なのだ。

難解な文科省の通知

 文部科学省が6月10日に出したマスク着用についての通知の要点は、「3密回避」と同時に①人と人との距離確保②マスク着用③手洗い等④換気という四つである。そして、これらを「徹底していく必要があります」と述べられている。

 そして「熱中症予防」にも気を付けて「適切に御対応ください」と言う。これをもとに地方の教育委員会、各学校は「新型コロナウイルス感染症対策としてのマスク着用について」というようなプリントを保護者に配布したのである。しかし、実際のところ文面は今までとほとんど変わりはない。

 マスク着用について、ある教育委員会が教職員に配布したマニュアルを見てみよう。

 「登下校時など屋外では、十分な身体的距離2メートルが確保できる場合には、マスクを外してもよいことを指導する。また、身体的距離が確保できない場合であっても、会話を控えた上であれば、マスクを外してもよいことを指導する」とある。

 基本的には「身体的距離2メートル」か「会話無し」であればマスクはとってよいということだ。「登下校時はマスクを外していいことになった」というようなアナウンスをどこかで聞いたことがあるが、実際は「身体的距離2メートル」「おしゃべりしない」が確保できなければ、マスク着用は必要だということは変わりない。

 さらに、屋内では「原則マスク着用」であるからほぼ今まで通り。授業中の対面は、「沈黙して15分以内ならよろしい」という根拠のはっきりしないマニュアルも以前からある。

試される学校のリスク回避能力

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岡崎勝

小学校非常勤講師、雑誌『お・は』編集人

おかざき・まさる 1952年、愛知県生まれ。愛知教育大学保健体育科卒業。小学校教員(40年以上)を経て、現在は非常勤講師。学校・子育てマガジン「おそい・はやい・ひくい・たかい」(ジャパンマシニスト社)編集人。「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」(同上)編集協力人。2020年8月から動画投稿サイト「ユーチューブ」で15分授業「おかざき学級」https://japama.jp/okazaki_class/ 公開中。近著に「子どもってワケわからん!」「学校目線。」など。