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日本の「貧困」 フランスと違う深刻な事情

竹内真里・フランス在住ライター
2018年3月22日、マクロン政権の年金制度改革案に反対の労働組合が中心となって行われたストライキ。鉄道員、公立病院や学校勤務者、学生、弁護士、年金生活者など、さまざまな属性の人が参加した。パリの参加者数は4万9000人(警察発表)、6万9000人(労組発表)。全国では30万から50万人が参加したと発表されている=パリ12区で、筆者撮影
2018年3月22日、マクロン政権の年金制度改革案に反対の労働組合が中心となって行われたストライキ。鉄道員、公立病院や学校勤務者、学生、弁護士、年金生活者など、さまざまな属性の人が参加した。パリの参加者数は4万9000人(警察発表)、6万9000人(労組発表)。全国では30万から50万人が参加したと発表されている=パリ12区で、筆者撮影

 フランスは春に大統領選挙、6月に国民議会選挙が終わり、国民が大好きな夏休みシーズンに突入した。現地在住のライター、竹内真里さんは、日本へ行くことを心待ちにしている訪日経験者に話を聞く中で、日本の「貧困」をうかがわせる発言が気になったという。同じ貧困でも、フランスのそれとはまるで質が異なる日本。投票日が間近に迫った参院選挙は、国民の力で国のあり方を変えることができる大切な機会でもある。日本社会が抱える根深い貧困問題について、フランスと比較しながら考えてみたい。

高すぎて行けないと思っていた日本は安かった

 フランス人にとって、以前はどこか遠い極東の国、高すぎて行けない、というイメージの日本が身近な存在になった。旅行や仕事などで滞在歴がある人は珍しくない。訪日の感想を聞くと、だいたい皆口をそろえて、どこも清潔▽人が優しく、親切▽電車が時間通りに来てすばらしい、車内もきれい▽治安がよく、身の危険を感じることがなかった▽食べ物がおいしい▽交通費は高いと思うが、他は安い▽酒が入ると日本人は人が変わる▽最先端のものと古いものが混在して魅力的――などと言う。

 加えて、「日本は裕福な国だと思っていたけど、意外とホームレスの人がいた」「警備系の仕事など、キツそうな立ち仕事をしている高齢者が多い」「娼婦(しょうふ)ではなさそうな女性が性的な商売をしているのはなぜ」「日本はなんでも高いという印象があったが、そんなことはない。安くて質のいいものがなんでも手に入る」などと話す人もいた。

庶民の暮らしは豊かといえるのか

 こうした彼らの話には考えさせられることがある。日本は「世界第3位の経済大国」「先進国で経済力のある国」として、国際機関や開発途上国などに対して多額の経済支援や技術力の援助を続けている。

 だが、日本の庶民の暮らしを考えると、一般家庭で経済的にゆとりがあるといえるだろうか…

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フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。