実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

死者も出る「ラッサ熱」などネズミからうつる病気は多数

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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2020年のえとにちなんで作られた、ガラス細工のネズミの置物=大阪府和泉市で2019年11月21日、望月亮一撮影
2020年のえとにちなんで作られた、ガラス細工のネズミの置物=大阪府和泉市で2019年11月21日、望月亮一撮影

 過去にシリーズとしてお届けしていた「知っていますか? 意外に多い動物からうつる病気」では、主にネコやイヌといった身近な動物から感染する疾患を中心に取り上げました。そのときに「ネズミからうつる感染症」についてはほとんど紹介しませんでした。そこで今回はネズミの話をしたいと思います。実は今年の2月、英国で、ネズミが持つウイルスが原因の「ラッサ熱」を発症した事例が報告されずいぶんと話題になりました。そのラッサ熱については後述することにして、まずは「ネズミからの感染症」の代表的なものをいくつか簡単に紹介しておきましょう。

ペストや「鼠咬症」など多数の病気

 「ネズミからの感染症」はシリーズ化できるほどたくさんあります。新型コロナウイルス感染症が流行してから何かと引き合いに出される「ペスト」は、ネズミに寄生するノミが媒介する細菌感染症です。高熱、リンパ節の腫れなどが生じ、重症化すると肺炎や敗血症が起こります。

 「鼠咬症(そこうしょう)」という、文字通りネズミにかまれて発症する感染症は、病名が漢字であることから分かるように、日本に存在します。原因となる細菌は複数あり、いずれも抗菌薬が有効ですが、治療開始が遅れると、発熱、関節痛、皮疹などの症状が長期間続くことがあります。「野兎病(やとびょう)」も細菌が原因で、発熱し皮膚に潰瘍ができます。病名が示すようにウサギから感染するのですが、実際にはウサ…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。