放射線治療装置「リニアック」と筆者。がんの場所や種類に応じて、放射線の強弱などを適切に変えて治療できる=東大病院で(筆者提供)
放射線治療装置「リニアック」と筆者。がんの場所や種類に応じて、放射線の強弱などを適切に変えて治療できる=東大病院で(筆者提供)

 がんはわずかな知識で運命が変わる病気ですから、学校で教えておくべき課題です。私は14年も前から、全国の100カ所以上の学校(主に中学校)でがんの授業をしてきました。政府のがん対策推進協議会でもその必要性を訴え、ようやく中学と高校の保健体育の学習指導要領に「がん教育」が明記されました。中学では昨年度から、高校では今年度から実際の授業が始まっています。

 私の授業では、事前事後にアンケートをとりますが、子どもたちは「がん治療=手術」というイメージを持っています。誰に習ったわけでもないでしょうから、マスメディアの影響が大きいのだろうと思います。たしかにテレビドラマでは、がんなどの難しい病気は手術室で治すという設定になっていることがほとんどです。

 日本のがんの代表は長い間、胃がんだった点も、そうしたイメージができた理由の一つではないかと思っています。…

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中川 恵一

東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。