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「病院から家庭へ」を支えたい 機能特化で生まれた病院

中澤まゆみ・ノンフィクションライター
院内では仕事をするスタッフと入院患者・家族が気軽に話せるようにと、スペースの分け隔てがない=東京都板橋区の「おうちにかえろう。病院」で、中澤まゆみ撮影
院内では仕事をするスタッフと入院患者・家族が気軽に話せるようにと、スペースの分け隔てがない=東京都板橋区の「おうちにかえろう。病院」で、中澤まゆみ撮影

 感染力の強い「BA.5」の広がりで、新型コロナウイルスの感染が第7波に突入しました。東京都の感染者も1万人を超え、首都圏近県ばかりか、西日本でも過去最多の発表がされています。第5波・6波で在宅療養者を支えた訪問診療医や訪問看護師たちも、再び防護服を着て感染者宅を訪ねることが増えてきました。

 直近の2波では、入院が必要な状態であっても入院できず、在宅療養を余儀なくされる感染者が急増しました。急性期病院に入院することができても、退院後、入院中に衰えた体力が回復できず、自宅に戻るのが困難となった人も多かったといわれます。

脳梗塞対応に比べて少ない心身の機能低下に対応できる病院

 「第5波・6波では危機を乗り越え、病状が安定した患者さんを急性期病院と在宅の両方から積極的に受け入れていました。地域の急性期病院が重症患者を引き受け、入院中に日常生活動作(ADL)が落ちて退院してきた人を当院が引き受ける、ということで、うまく回っていたと思います。在宅とつながっているので、そのフォローアップも多かった。通常のレスパイト(家族の休息のための入院)などが十分に受けきれなかったのは課題となりましたが、7波でも基本の姿勢は変わりません」

 そう語るのは、2021年4月に東京都板橋区にオープンした「おうちにかえろう。病院」の水野慎大院長。名前の途中に、なぜか「。」までついたユニークな120床の病院…

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ノンフィクションライター

なかざわ・まゆみ 1949年長野県生まれ。雑誌編集者を経てライターに。人物インタビュー、ルポルタージュを書くかたわら、アジア、アフリカ、アメリカに取材。「ユリ―日系二世 NYハーレムに生きる」(文芸春秋)などを出版。その後、自らの介護体験を契機に医療・介護・福祉・高齢者問題にテーマを移す。全国で講演活動を続けるほか、東京都世田谷区でシンポジウムや講座を開催。住民を含めた多職種連携のケアコミュニティ「せたカフェ」主宰。近著に『おひとりさまでも最期まで在宅』『人生100年時代の医療・介護サバイバル』(いずれも築地書館)、共著『認知症に備える』(自由国民社)など。