多民族時代の健康パスポート

サル痘も? 国際的な人の移動復活で感染症リスク拡大

濱田篤郎・東京医科大学特任教授
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で閑散とした羽田空港の国際線出発ロビー=東京都大田区の羽田空港第3ターミナルで2020年3月15日、小川昌宏撮影
新型コロナウイルス感染拡大の影響で閑散とした羽田空港の国際線出発ロビー=東京都大田区の羽田空港第3ターミナルで2020年3月15日、小川昌宏撮影

 新型コロナウイルスの流行が始まって2年半以上が経過しています。新規感染者の発生は世界的に続いていますが、2022年に入ってからはオミクロン株の流行やワクチン接種率の高まりなどにより、重症者の発生は少なくなってきました。こうした状況から、世界各国は感染対策の緩和に向かっていますが、そんな中、インフルエンザの再燃やサル痘の流行などコロナ以外の感染症にも動きが見られています。この原因の一つとして、国際的な人の移動(国際人流)の復活が関係しているようです。今回は国際人流と感染症流行の関係について解説します。

日本からの出国者数は19年の40分の1に

 新型コロナの流行が始まってから間もなく、世界各国は入国制限や渡航制限などにより国際人流を止め、流行の拡大を抑える方針をとりました。その直前まで、世界はグローバル化の波の中にあり、国連世界観光機関(UNWTO)によれば19年の全世界の海外旅行者数は14億人を超えていました。…

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濱田篤郎

東京医科大学特任教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。