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新型コロナ 身を守る「今できる努力」と第8波への備え

志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)
 
 

 新型コロナウイルス感染症の第7波が猛威を振るっています。連日多くの患者さんが発熱や咽頭(いんとう)痛(のどの痛み)など、つらい症状を訴えて医療機関を訪れます。前回の波よりも多くの患者さんが発生しているため、医療機関で対応できる能力を超えています。また、政府の方針が「社会活動は継続」ですので、感染はしばらくは広がります。医療職の感染も避けることができません。多くの職場で医療職が離脱しています。我々の施設でも、1人、また1人と発熱や体調不良の職員が出ています。日々救急の最前線を維持することがとても難しい状況です。たとえば沖縄県では、救急医療の中核を担ってきた沖縄県立中部病院でも、外来制限が始まっています。これだけ感染が広がっているところで「社会活動が継続」となると、現状では波が収まるまで個人個人が状況に合わせて努力するしかないでしょう。

予防と対策

 まだ新型コロナウイルスに感染していない人にお勧めしたいのは、ワクチン接種はなるべく、3回目まで終えておくことです。高齢者や持病のある方は、4回目の接種まで済ませるのがベストです。以前ご紹介したように、感染の予防効果は限られるものの重症化の予防効果があります(「新型コロナ どうする『4回目』のワクチン」)。あとはやはり、職場で「黙食」(ひとと食事をする際は話さない)をすることや、大人数での食事を控えることが、感染予防に大切です。新型コロナウイルスは、基本的にエアロゾル(唾液などの小さなしぶき)から感染するので、マスクでエアロゾルの放出と吸入を少なくすることが大事です。

コロナかな、と思ったら

 ワクチン接種を受け、外出を少なめにするなどしていても、新型コロナに感染することはあります。しかも発熱は、暑さで熱中症になった場合にも生じますし、新型コロナではない普通の風邪でも生じます。今の状況で「熱が出た」「のどが痛い」「せきが出る」など、新型コロナのような症状が出たら、どうするのがよいのでしょうか。

受診しなくても(できなくても)それほど心配ない場合

 まず、65歳未満で新型コロナの重症化リスクがない人の場合を考えましょう。こういう方が発熱して病院を受診し、新型コロナと診断された場合には、解熱剤を処方してもらって帰宅することが多いです。これですと、受診してもしなくても大差はありません。

 症状としては、熱やのどの痛みやだるさがあっても「(食事が)食べられる」「(水やお茶が)飲める」「歩ける」「息が苦しくない」という人は、やはり解熱剤をもらって帰宅する可能性が高いです。医療機関への往復や数時間の待ち時間を考えると、ご自宅での療養の方が望ましいと考えられます。

受診した方がよい場合

 一方、重症化リスクがある方は、病院を受診する意味があると思います。なお「重症化リスクがある」人というのは、免疫機能が低下している人、持病がある人…

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国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授、21年4月から主任教授(同大成田病院救急科部長)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。